Intelスイッチの「オズボーン効果」vs. iPodの「ハロー効果」、勝者はどちら?(1/2 ページ)
業界観測筋は、Apple ComputerのiPodによる「ハロー(後光)効果」に注目している――この人気携帯プレーヤーが、Macintoshのコンピュータに新規ユーザーをもたらしているのだ。しかし間もなくPowerPCからIntelプロセッサに移行するMacの周辺には“不確かさ”が立ち込めており、これによって“ハロー”に陰りが出ることはないのだろうか?
長きにわたるPowerPCサプライヤーであったIBMとFreescale Semiconductor(前Motorola半導体部門)と手を切り、Intelと提携するというAppleの劇的な発表は、多くのMac信奉者たちに衝撃を与えた。
投資家や業界観測筋は、これによって新モデルを待つ人々による買い控えが生じ、絶好調のMacの売り上げを停滞させる可能性があるとの見方を示した。Appleのスティーブ・ジョブズCEOは、IntelベースMacの登場には1年かかるとしたが、その間にPowerPCベースの新製品を投入するとも約束した。
こうした“停滞現象”は「オズボーン効果」として知られる。企業が次の、しかも優れた製品の投入を予告した後に、現行製品の売り上げが落ちる現象だ(もっとも、「オズボーン効果」の大本のエピソードは一種の都市伝説なのだが)。
このオズボーン効果が別の売り上げの勢い――つまりiPodのハロー効果――を弱めることになるかどうかだ。iPodへの愛着からWindowsからMacに乗り換える、Macを所有していないiPodユーザーが増えている。
この2つの相反する効果は実際にMacの売り上げに影響を及ぼしているのだろうか? Appleのピーター・オッペンハイマーCFO(最高財務担当者)は直近の四半期決算報告で、今後の売り上げ予測に関して慎重なガイダンスを示した。これはAppleの今後1年が先細りになることの証しなのか? 以下、業界アナリストとMac小売業者の見解をまとめてみた。
アナリストの見解
「Macの売り上げを押し上げているハロー効果は確かに見られるが、iPodだけがその要因ではない」と話すのは、Jupitermedia傘下にあるJupiterResearchのアナリスト、ジョー・ウィルコックス氏。iTunes Music Store、iPod、Apple Storeが統合的に投入されたことにより、冷え切っていた(Apple)ブランドを再燃させたと同氏は見ている。例えば、Apple Storeの目的は「マーケティング」であり、そこで「ブランドを披露し、Mac体験を提供する」ことだと、同氏は指摘している。
ウィルコックス氏によれば、Appleにはもう1つ、優位な点がある。「自社製コンピュータに(iTunesやiMovieなど)自社ソフトをパッケージングして多くの価値を提供できる」。ライバルのHPやDellは、Windowsライセンス料のみならず自社のコンピュータにバンドルするあらゆるデジタルメディアソフトのライセンス料を支払わなければならない。こうしたAppleの優位性はMacの利ざや確保に貢献していると、同氏は強調した。
「今起きているハロー効果は、iPodとほかの要素が組み合わさったものだ」とするウィルコックス氏は、iPodの売れ行きは今でも予想以上に好調を続けており、「もしハロー効果の要因がiPodだけだとしたらAppleの利益成長率はもっと低いはずだ」と話している。
「売り上げを抑える圧力がかかっていたとしたら、それは2005年1月~3月期だろう」。この期間は、ウィルコックス氏の言葉を借りると「大失敗するか、あるいはステータスシンボルになり得るか」が試されたiPodのテスト期間だったからだ。
マイナスの圧力
しかしAppleが下降する可能性はあるとウィルコックス氏は指摘する。「Intelスイッチ」の発表が原因でオズボーン効果が生じるとの考えには同意しないものの、「(Intelへの)移行はすぐに売り上げに影響する問題ではなく、むしろ長期的なロジスティックスに関連する問題だ」と同氏。
Intelスイッチは、MicrosoftがWindows新バージョン「Vista」を投入する時期と同じ2006年中に進められる。
「それまでにデベロッパーの準備を完了させることが、Appleの課題だ」と話すウィルコックス氏は、現行のMacソフトを、少なくともIntelベースMacでネイティブに動作できるようにしなけれならないことに言及した。
現行ソフトは、「Rosseta」と呼ばれるダイナミックトランスレーションソフトを使って新コンピュータに対応させるが、大半のデベロッパーは自社のアプリケーションをアップデートする必要があり、Windows新バージョンのサポート作業も抱えるデベロッパーにとってはかなりのプレッシャーになる。「リソースが限られているデベロッパーは、Intel対応Mac OS XかWindows Vistaのどちらかを選ぶことになるだろう」(同氏)
しかしそれでも、ウィルコックス氏は「近く(Intelへの)移行がMacの売り上げに何らかの影響を与えることはないと思う」と言う。
「実際にはその反対の現象が起こるはずだ」とも。
「(OSを乗り換える)コンシューマーは、おそらく自分たちのコンピュータの中身をほとんど知らない、あるいは気にしていない」。企業顧客はできるだけ長く使えるコンピュータを欲しがっている。これはつまり、「最もややこしくない選択肢は、IntelベースMacの早期ユーザーになるよりも、現行Macを今買うこと」を意味する。またMac信俸者は、プラットフォームに寄せる忠誠心からPowerPCベースMacを買いたがるだろう、と同氏は言い添えた。
自身の推論は知識に基づいたものだと主張するウィルコックス氏だが、「はっきりした数字を出すのは時期尚早だ」としている。
Forrester Researchの副社長兼主席アナリスト、テッド・シャドラー氏も、AppleのIntelスイッチが同社の売り上げに及ぼす影響について数字を分析することはまだ早過ぎるとの意見だ。
ただしForresterでは、Appleの市場シェアとインストールベースの拡大を示す数字を算出しており、シャドラー氏は少なくともiPodのハロー効果は部分的に働いていると話している。
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