数カ月にわたる熱狂の末、Apple Computerは9月7日、iPod miniの約半分のサイズの超薄型iPodと、iTunesソフトを搭載したMotorola製携帯電話を発表した。
Appleの新モデル「iPod nano」は4Gバイトの容量で249ドル、鉛筆よりも薄いとAppleのスティーブ・ジョブズCEO(最高経営責任者)はサンフランシスコのモスコーニセンターでのイベントで語った。
iPod nanoは初代iPodよりも80%小さく、iPod miniよりも62%小さいという。重さは1.5オンス(42グラム)で、カラーディスプレイが搭載される。7日から一部店舗で発売され、週末までに世界中で販売されるとジョブズ氏。容量2Gバイトで199ドルのモデルも提供される。
「Appleがこれまでに作り出した中で最も驚く製品の1つだ」(同氏)
Appleは、Motorola製携帯電話「ROKR」も発表した。これはGSM/GPRS端末で、iTunesソフトに直接アクセスできるボタンを備える。北米ではCingular Wirelessが独占キャリアとして今週末に提供開始するという。
CingularはROKRを249ドルで店頭販売する計画だ。同端末にはステレオヘッドフォンと、PCまたはMacから楽曲を転送するのに必要なUSBケーブルが付属する。この端末はiTunesソフトではiPodのように表示され、iTunesのプレイリストから電話のアイコンに楽曲をドラッグすることができるとジョブズ氏は説明した。
アナリストや熱心なことで知られるAppleファンは、Appleが先週発表会の招待状を発送して以来、この発表会のテーマについて白熱した議論を展開してきた(8月30日の記事参照)。しかしAppleとMotorolaはiTunes携帯電話について1年あまり前から口にしていたし、Motorolaのエド・ザンダーCEOは7月に、iTunes携帯はもうすぐ登場するとアナリストに約束した。
Appleがデジタル音楽市場でトップの座を維持したいのなら、同社は絶えず流通モデルを拡大する必要があるとNPD Techworldの調査ディレクター、ステファン・ベイカー氏は語る。ROKRは、AppleがiTunesをiPod以外のデバイスに持ち込めるかどうかを示すものであり、携帯電話はスタート地点としては自然だと同氏。
「携帯電話は地球上で最もユビキタスな電子機器だ。携帯電話事業の規模を考えると、流通の点で、この分野での提携は必要だ」(ベイカー氏)
ROKRにおけるユーザー体験がiPodの提供するユーザー体験ほど優れていなくても、十分な機能が提供される限り、ユーザーは音楽プレーヤーと携帯電話の組み合わせを支持するはずだと同氏は言う。
「カメラ付き携帯で(デジタルカメラ)より優れた体験を得られるだろうか? 答えはノーだ」。だからといって、携帯電話ユーザーがカメラ付き携帯を支持しないということはなかったと同氏は指摘する。
一部のアナリストとMacユーザーは、iTunes携帯で楽曲をワイヤレスでダウンロードできるかもしれないと憶測していたが、少なくとも米国のデジタル音楽ファンは、まだそれができる状態にないとGartnerの調査ディレクター、マイク・マクガイア氏。
「オンラインメディアに関して言うと、パーソナルコンピュータ中心の文化なのだ」と同氏。Appleと業界にとっては、全く新しいデジタル音楽の入手方法を導入しようとするよりも、パーソナルコンピュータの楽曲を携帯デバイスに転送するようユーザーを説得する方が容易なのだと同氏は語る。
もしもAppleがiTunes携帯をリリースしていなかったら、ライバルは確実に同様のデバイスで音楽プレーヤー市場におけるAppleの優位を浸食しようとしていただろうとEndpoint Technologies Associatesのロジャー・ケイ社長は指摘する。
iPod nanoは、年末商戦に向けてiPodシリーズの新鮮さを保つ役に立つとケイ氏。また同氏は、このモデルはHDDよりも安定しているフラッシュメモリを採用することで、活動的なユーザーがHDDベースiPodの取り扱いに対して持っていたかもしれない懸念をいくらか解消すると話している。
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