ITmedia NEWS >

スタンダードなスペックは“優等生”の証――キヤノン「IXY DIGITAL 60」レビュー(4/5 ページ)

» 2005年09月12日 06時27分 公開
[小山安博,ITmedia]

快適な再生、バッテリーの持ち時間はもう一歩か

 映像エンジンDIGIC IIの搭載により、再生のレスポンスも非常にいい。撮影後の画像確認(レックレビュー)は、2〜10秒までの1秒刻みで選べるほか、シャッターボタンを押すまで表示するホールドも選択可能。2〜10秒で設定した場合は、画像表示中にファンクションボタンを押せば画像がホールドされ、拡大再生や削除といった操作が可能。

photo 再生画面。ヒストグラムやISO感度、露出補正値などは表示されるが、ここでもやはりシャッタースピードや絞りは表示されない

 通常の再生はモードスイッチを再生に合わせて行う。画像送りも快適で、スペックに余裕があるせいか、通常のコマ送りにも効果を付けることができる。表示中の画像がフェードアウトし、次の画像が浮かび上がってくるモードと、左右キーを押した方向から画像が表れるモードの2パターンが用意されている。

 拡大再生は10倍まで。拡大再生中にファンクションボタンを押すと、その時の拡大倍率のまま、左右キーで前後の画像に切り替えられる。連続でピントの確認をしたい場合などに便利だ。

 サムネイル表示は9コマのみ。カーソルのある画像が少し拡大される独特の表示で、カーソルをあわすだけで拡大される工夫はいい。画像送りは10枚/100枚単位に加え、日付ごと/フォルダごとで移動することもできる。

photo サムネイル表示は9コマのみ。カーソルが動くたびに画像が少し拡大される。表示は特に引っかかりもなく、快適

 通常、メモリカード内に作られるフォルダはカメラが自動で作成するが、新たにフォルダ作成のタイミングを選ぶことができるようになっている。撮影するごとにフォルダを作成したり、「毎日」「毎月」「曜日ごと」に作成したり、複数のパターンが用意される。

 面白いのが、カメラの縦横位置を判別するSIセンサーを応用した1コマ再生。撮影時だけでなく、再生時もSIセンサーでカメラの縦横位置を判断し、カメラが縦位置の時は、画像もそれに合わせて回転表示される機能で、カメラの向きを変えるだけで表示方法が変えられるのは便利だ。

photo 縦位置で撮った画像を横位置で再生。横位置で撮った画像を横位置で表示するよりも、表示面積が小さいのが難点
photo そんなときはカメラを縦位置にして再生するといい。今度は横位置で撮った画像の表示面積が小さくなるが、カメラを傾けるだけでまた横表示もできる

 バッテリーは小型のリチウムイオン電池(NB-4L)で、撮影可能枚数はCIPA準拠で約150コマ。液晶モニターを非表示にすると約500コマの撮影が可能なため、液晶の電力消費の大きさが分かる。カシオ計算機の「EXILIM EX-Z500」のCIPA準拠で500コマの電池寿命は別格としても、もう一歩電池寿命が延びるとよかった。

 ただ、充電器が小型で、90分の急速充電も可能なため、旅行先などに持っていってもそれほど苦にならない点はありがたい。

photo バッテリーは、持続時間は心もとないが、充電器も小型で持ち運びは容易だ

 IXY DIGITAL 60は、バッテリー駆動時間以外は大きな不満のない、そつのないコンパクトデジカメだ。レンズ、映像エンジンともに優秀で、大きな破綻のない写りをし、操作性も高い。

 今までIXY DIGITALシリーズの不満点だった液晶サイズも2.5インチと、多くのライバルたちに追いつき、欠点らしい欠点のないカメラに仕上がっており、このクラスの代表とも言える、優等生的カメラといえるだろう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.