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スタンダードなスペックは“優等生”の証――キヤノン「IXY DIGITAL 60」レビュー(1/5 ページ)

» 2005年09月12日 06時27分 公開
[小山安博,ITmedia]

 コンパクトデジカメの一大ブランド、キヤノンの「IXY DIGITAL」の新製品「IXY DIGITAL 700」「IXY DIGITAL 60」は、コンパクトデジカメとして最近主流のスペックである2.5インチ液晶をようやく搭載してきた、“コンパクトデジカメの定番”的モデルだ。

 その中でも、有効画素数500万画素のCCDを搭載したIXY DIGITAL 60は、キヤノンらしいバランスの取れた高画質、高品位な外観、使い勝手のいい操作性と、王道コンパクトデジカメにふさわしい機能を揃えてきた。

 兄弟機のIXY DIGITAL 700と比べると、細かな違いもあるが、大きく撮像素子の違いで区別できる。700が1/1.8インチ有効画素数710万画素CCD、60が1/2.5インチ有効画素数500万画素CCDを搭載しており、60の方がメインストリーム向けで、より気軽に撮影できる製品だ。

photo 人気のIXY DIGITALのエントリーモデル「IXY DIGITAL 60」

2.5インチ液晶は、やはり使いやすい

 前述の通り、今回レビューするIXY DIGITAL 60と兄弟機の700は、キヤノンのコンパクトデジカメとしては初めて2.5インチ液晶を搭載してきた。ほかのメーカーはすでにコンパクトで2.5インチ液晶の搭載を実現しており、カシオ計算機は2.7インチ、三洋電機は3インチの液晶まで積んできているのだから、「遅まきながら」という言い方もできるだろう。

 それでも、他メーカーとの違いは、2.5インチ液晶を採用しながらも光学ファインダーを残した点が挙げられる。一眼レフとは異なり、コンパクトデジカメで光学ファインダーを常用する人はまれだろうが、直射日光で液晶モニターが見にくい場合などで、ファインダーがあると助かる場面もある。このあたりはキヤノンのこだわりとして好感が持てる。

photo 液晶が2.5インチへと大型化された。解像度は普通だが、視野角も広く、見やすい。液晶上部、本体のほぼ中央にファインダーがついている

 初の2.5インチ液晶は、画素数は約11.5万画素と標準的で、視野角や色の再現性などは、同クラスの他社製品と比べても特に見劣りはしない印象。特に、従来製品に比べ、視野角は上下左右とも1.5倍に広げたらしい。

 2.5インチになったことで、撮影設定を変更すると、一瞬アイコンが大きく表示されるアニメーションやグリッドライン表示など、大画面を生かした工夫も盛り込んでいるようだ。

photo 設定が変更されると、一瞬アイコンが拡大表示される初心者にも変更した設定が分かりやすい

 従来のIXY DIGITALシリーズが最大でも2インチ止まりだったので、液晶の大型化はありがたい。構図の設定、撮影画像の確認といったほかに、人と一緒に画像を見る場合などでも、液晶は大きければ大きいほどいい。

 もちろん、消費電力やサイズなど、液晶は一概に大きくすればすべていいわけではないが、現時点では2.5インチが採用例も多く、最もバランスが良さそうだ。もともと人気の高いIXY DIGITALシリーズだけに、2.5インチ液晶の搭載は訴求ポイントとして大きいだろう。

 それでいて、サイズが前モデルのIXY DIGITAL 55とほぼ同等サイズを実現しているのもいい。本体サイズは86(幅)×53.5(高さ)×21.6(奥行き)ミリ、約140グラムで、高さで0.5ミリ、奥行きで0.9ミリ、重さで10グラムほど大きくなっているものの、わずかな違いだ。

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