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「チャンネル争いナシ」「闇夜のカラス見える」──シャープは液晶新技術CEATEC JAPAN 2005(1/2 ページ)

» 2005年10月05日 18時22分 公開
[小山安博,ITmedia]

 液晶とホームネットワークを中心にしたのがシャープブース。液晶テレビの「AQUOS」を中心とし、さらに新製品となるAVセンターパソコン「メビウス」シリーズなどを展示している。

photo 液晶テレビAQUOSをはじめとした映像製品とホームネットワークを中心とした展示のシャープブース
photo 32型液晶を採用したAVセンターパソコン「PC-TX32J」
photo 65V型の液晶テレビ「LC-65GE1」
photo デジタル放送対応のHDDレコーダー新製品も

1画面で同時に2つの映像

 来場者の注目を集めていたのが、1つの液晶で、同時に2つの映像を表示できるデュアルビュー液晶。これは、同社の3D液晶でも利用されている「視差バリア」を使った製品。

photo デュアルビュー液晶。こちらは液晶右側から見たところ
photo 左側から見るとこうなる

 視差バリアは、垂直のスリットを設けてバックライトを遮り、左右の目に異なる光を送ることで映像を立体的に見せる、視差を利用した立体映像の仕組み。今回はこれを応用、液晶の左右の位置で全く異なる映像を表示することに成功した。

 これを使うことで、液晶の中心から見て右側にいる人は野球中継、左側にいる人はサッカー中継というように、チャンネル争いをせず、2つの映像を視聴できる。

 ただし、問題になるのが「音声」。現時点では片方の音声しか出すことができず、そうした意味ではテレビ放送を完全に視聴することは難しい。また、スリットで光を遮るため、解像度自体は半分になり、デモで使われているフルHDパネルの場合、片側で横960ピクセルの解像度しか出せない。これらのことから、現時点では液晶テレビの「AQUOS」ブランドは冠せられない、と説明員は言う。

 それでも、デモではレーシングゲームを使い、片方が正面から、もう片方は背後から見た映像を表示していたほか、音声だけ同じで内容が異なるドラマ仕立てのストーリーを流すなど、デュアルビュー液晶の特性を生かした面白い使い方を提案していた。

 これを応用した製品として、すでに富士通テンがカーナビゲーションシステムとして製品化、11月から販売を開始する。これは、運転手側と助手席側で異なった映像を表示でき、運転手にはカーナビ画面を、助手席側にはテレビ/DVDの映像を表示させる、といった使い方ができる。

メガコントラスト

 もう一つの注目が100万:1という高コントラスト比を実現した「メガコントラスト液晶」。ブラウン管や有機ELなどを超えるコントラスト比であり、放送現場のマスターディスプレイとしての利用を想定している。

photo シャープのメガコントラスト液晶。写真はCEATEC開催前日となる10月3日の発表会でのデモンストレーション。CEATEC会場の展示は撮影禁止だった

 100万:1といえば「闇夜のカラスも見分けられる」(同社)というレベルで、特に暗所で高いコントラスト比を実感できる。

 業務用のために価格は一般的な液晶よりも跳ね上がりそうだが、基本的に民生用にこの液晶を転用する考えはないようだ。

 ブースでは、上記のデュアルビュー液晶とともにデモ展示、来場者の注目を集めていた。

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