記録メディアがDVテープでもDVDでもなく、MPEG-2方式で保存を行うという、新しい形態のビデオカメラが少しずつ勢力を拡大しつつある。すでに登場ずみのビクター“Everio”シリーズでは容量4GバイトのMicroDriveや、20〜30Gバイトの内蔵型1.8インチHDDを採用。さらに、先日レビューを行った松下電器産業の「SDR-S100」では、記録メディアとして2GバイトのSDカードを標準添付している。
そして、この両者に割って入ろうというのが、東芝のHDDムービーカメラ「gigashot V10」だ。同社が誇る0.85インチHDDの応用製品ともいえ、「SDR-S100」と同程度のサイズ・重量ながら、SDカードスロットに加え、容量4GバイトのHDDユニットを標準で内蔵している。
gigashotという商品名は、今年1月に開催されたInternational CESにおいて、AV系製品群“gigastyle”ブランドの一環として発表済み。その際には、DVカメラやEverioシリーズと競合しうる1.8インチHDD採用ビデオカメラと、低価格をうたった0.85インチHDD製品が展示されていた。そして、その“約束”どおり、「gigashot V10」は5万9800円という破格での登場となる(ただし、東芝のダイレクトオンラインショップ「Shop1048」での、モニターアンケート付き販売価格)。
つまり、ちょっとしたデジタルカメラと大差ない値段で、HDD内蔵のビデオカメラを購入できるわけだ。本体は幅38.5×高さ103.8×奥行き59.5ミリで、質量は約260グラム。サイズや表面質感から受ける印象も、高級感というよりは親近感で、DVカメラなどよりはデジタルカメラに近い。
とはいえ、決して安っぽいわけではない。可動部などには少し無骨に感じる部分もあるものの、その分、つくりはしっかりしている。また、HDD内蔵だけに、落下による衝撃などにも対策済みだ。ゲル素材によるフローティング構造で保護するとともに、落下を検知してヘッドを退避させるための3D加速度センサーも搭載した。
撮像素子は1/2.5型CCDで、総画素数は約519万、有効画素数は静止画で約500万、動画で約250万となる。レンズは光学5倍ズームとなるが、焦点距離が35ミリカメラ換算で38〜190ミリと、競合製品と比べると広角寄りなのが特徴的だ。また、通常のマクロで約10センチ、スーパーマクロモードに至っては約1センチの近距離での撮影が可能となる。
内蔵モニターは2.0型TFTカラー液晶で、画素数は20.7万。発色はとりたててよいとは思わないが、表示は十分に精細で、特にメニュー画面などの情報表示はかなり見やすい。画面は4:3で、さらに、その下にスピーカーがあるため、モニター部全体はほんの少しだけ縦長の形状となっている。
液晶モニターを開いた部分には、電源ボタンのみを配置。最初は、なぜこんな目立たないところにと思ったが、実はこのボタンを押す機会はあまりない。液晶モニターの開閉が電源と連動しているからだ。ビクターのビデオカメラ全般や「SDR-S100」と同様の機構だが、ちょっと違うのは、ほかに電源のメインスイッチが存在しないこと。つまり、電源ボタンとモニターの開閉は完全に同じ操作なので、“あらかじめ主電源を入れておく”必要もない。HDD採用にもかかわらず起動は早く、撮影開始までの待ち時間は4秒程度だ。
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