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コラム
» 2005年10月17日 10時00分 公開

ビデオiPodの登場で変わる「何か」小寺信良(2/4 ページ)

[小寺信良,ITmedia]

映像ダウンロードで変わるもの

 では、この映像コンテンツダウンロードという視点で、もう少し考えてみよう。

 音楽に絡めた映像ビジネスということで、すでにiTunesミュージックストアでは、楽曲のプロモーションビデオのダウンロード販売がスタートしている。実はこのビジネスは、楽曲そのもののダウンロード販売以上に画期的だ。

 そもそも商用音楽というのは、売るために存在している。今まではそれをアルバムという詰め合わせでしか売ってなかったのをばら売りにしたという点で、iTunesミュージックストアは画期的であったわけだ。

 だが楽曲のプロモーションビデオというのは、それそのものを販売するために制作していない。プロモーションビデオの目的は、あくまでも楽曲の販促物として制作されているので、元々売り物ではないのである。

 以前テレビでは、プロモーションビデオを流すランキング番組が全盛の時代があった。これは、テレビ局なり制作会社なりがレコード会社からプロモーションビデオを借りるのは、昔はタダだったからである。だがこれが衰退したのは、宣伝材料を集めて放送するだけで利益を得ているという番組スタイルに音楽業界が反発して、プロモーションビデオの放映権として対価を求めるようになってきたからだ。

 元々は広告宣伝費で作っていたプロモーションビデオだが、最近はいくつかまとめてDVDで販売するなど、映像作品的な要素が強くなってきている。したがって最近では、販売コンテンツという前提で制作予算を付けて、プロモーションビデオを制作するように変化してきている。

 だがこれまでは、自前の販路がほとんどなかったのである。これが1曲単位でも販売できるようになれば、プロモーションのためのビデオではなく、名実ともに「ミュージックビデオ」というジャンルとしての確立が進むだろう。

 おそらく日本ではしばらく行なわれないと思われるのが、米国のミュージックストアで行なわれる、番組のダウンロード販売だ。まだ提携番組は少ないが、それでも人気番組が放送の翌日からダウンロードできるというのは、テレビ業界の人間から見ると画期的である。

 では日本ではなぜ難しいのかと言えば、それはひとえにテレビ番組の著作権処理の煩雑さによる。最近では各局ともVODへの番組提供が盛んに行なわれているが、権利処理が進まないために、人気俳優やタレントが出演する話題のドラマやバラエティなどの番組は、配信されていない。米国でのサービスのように、人気のある番組からまず始まる、という状況は、当分望めそうにない。

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