小寺信良
ビデオiPodの登場で変わる「何か」(2/4 ページ)
映像ダウンロードで変わるもの
では、この映像コンテンツダウンロードという視点で、もう少し考えてみよう。
音楽に絡めた映像ビジネスということで、すでにiTunesミュージックストアでは、楽曲のプロモーションビデオのダウンロード販売がスタートしている。実はこのビジネスは、楽曲そのもののダウンロード販売以上に画期的だ。
そもそも商用音楽というのは、売るために存在している。今まではそれをアルバムという詰め合わせでしか売ってなかったのをばら売りにしたという点で、iTunesミュージックストアは画期的であったわけだ。
だが楽曲のプロモーションビデオというのは、それそのものを販売するために制作していない。プロモーションビデオの目的は、あくまでも楽曲の販促物として制作されているので、元々売り物ではないのである。
以前テレビでは、プロモーションビデオを流すランキング番組が全盛の時代があった。これは、テレビ局なり制作会社なりがレコード会社からプロモーションビデオを借りるのは、昔はタダだったからである。だがこれが衰退したのは、宣伝材料を集めて放送するだけで利益を得ているという番組スタイルに音楽業界が反発して、プロモーションビデオの放映権として対価を求めるようになってきたからだ。
元々は広告宣伝費で作っていたプロモーションビデオだが、最近はいくつかまとめてDVDで販売するなど、映像作品的な要素が強くなってきている。したがって最近では、販売コンテンツという前提で制作予算を付けて、プロモーションビデオを制作するように変化してきている。
だがこれまでは、自前の販路がほとんどなかったのである。これが1曲単位でも販売できるようになれば、プロモーションのためのビデオではなく、名実ともに「ミュージックビデオ」というジャンルとしての確立が進むだろう。
おそらく日本ではしばらく行なわれないと思われるのが、米国のミュージックストアで行なわれる、番組のダウンロード販売だ。まだ提携番組は少ないが、それでも人気番組が放送の翌日からダウンロードできるというのは、テレビ業界の人間から見ると画期的である。
では日本ではなぜ難しいのかと言えば、それはひとえにテレビ番組の著作権処理の煩雑さによる。最近では各局ともVODへの番組提供が盛んに行なわれているが、権利処理が進まないために、人気俳優やタレントが出演する話題のドラマやバラエティなどの番組は、配信されていない。米国でのサービスのように、人気のある番組からまず始まる、という状況は、当分望めそうにない。
次ページ→「新しいポッドキャスト」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
資さんうどん、従業員の退職理由などが外部から閲覧可能に 委託先の勤怠システムに設定不備
-
2
NEC、委託先の情報漏えいで謝罪 「セキュリティ事業を手掛ける企業として反省」
-
3
VTuber「兎田ぺこら」グッズにSNSで風評被害→示談成立 「保護者同伴で謝罪などがあったため」
-
4
JALの予約システムに不正アクセス 約9万人分の予約情報が漏えい 一部ではパスポート番号も
-
5
GMO、ランサム被害にあった顧客に新しいPC提供へ 犯行グループは1人の顧客情報公開か
-
6
NECのルータ「Aterm」、PHP脆弱性の影響なし 設定画面URLの「.php」は無関係
-
7
「対策を後回しにしたサーバが軒並み狙われている」 相次ぐ不正アクセスにラックCTOが警鐘
-
8
メアドを検索→AIで“その人専用フィッシングメール”を生成する手法、クリック率が約2.7倍に 7000人以上で実験
-
9
Anthropic、独自の“創薬活動”に着手 社員1人のバイオ企業を買収、小児難病の治療薬研究を進める
-
10
GMO不正アクセスの犯人サイト、ドメイン停止を確認
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR