“ウォークマン Aシリーズ”の発売を1カ月後に控えるソニー。新シリーズは好評であった“ウォークマン スティック”(NW-E400/500シリーズ)から名称も変更し、「ポータブルオーディオプレーヤーといえばウォークマン」という同社の作り上げたブランドイメージの復活を目指す製品だ。
新ウォークマンは同社が2004年11月に組織した本社直轄組織「コネクトカンパニー」(関連記事)の主導によって投入される製品で、同カンパニーはハードとソフト、双方に渡る同社のリソースを結合させ、ライバルであるiPod+iTMSの追撃を目指している。
しかし、先日行われた同社の中長期経営方針説明会で同社代表執行役会長兼グループCEOのハワード・ストリンガー氏は「最大の課題は“エレクトロニクスの復活”だ」と述べながらも話題は薄型テレビ「BRAVIA」に終始し、今後の“ウォークマン”が目指す方向(対アップル戦略と言い換えてもいいだろう)については語られずじまいであった。
“ウォークマン”の名前を冠した新商品を投入するにあたり、同社は動画対応機までも登場したiPod(+iTMS)へどう対抗していくのか、また、ポータブルオーディオプレーヤーという製品ジャンルをどのように発展させていくのか。コネクトカンパニー 商品企画部 統括部長の長島利通氏に話を聞いた。
――Aシリーズの発表会では、辻野晃一郎氏(コネクトカンパニー コ・プレジデント)から「コネクトという世界観をユーザーの手元に届ける、そのためのポータブルオーディオプレーヤーが“ウォークマン”だ」という説明がありましたが、具体的には“コネクト”とは何を指し、ユーザーへどのような価値を提供するものなのでしょうか?
長島氏:端的に言ってしまえば、“コネクト”とは「考え方」です。日々の生活にネットワークが浸透し、ソニーとしてもモノ作りへの取り組み方が変化している中、ユーザーへどのような価値を提供できるか、その「想い」や「ビジョン」を込めた言葉が“コネクト”です。
発表会の席上でも「Powered by Connect」という表現を使いましたが、“コネクト”というビジョンのもとに“ウォークマン”であったり、Mora(モーラ)であったり、CONNECT Player(Aシリーズ用の専用ライブラリーソフト)という製品やサービスをユーザーへ提供していきますので、その上で私たちの考えを感じ取って欲しいと思っています。
――ポータブルオーディオプレーヤーに関するさまざまな価値を内包するビジョンとして“コネクト”という言葉を使うのであれば、ソニー全体としては、具体的にどのような価値やサービスをユーザーへ提供できるのでしょう。
長島氏:コネクトカンパニーとしては、いろいろな軸からサービスをユーザーへ提供できるのではと考えています。新商品はCDからリッピングしてプレーヤーへ転送してそのままの曲順で再生する――というシンプルな使い方だけではなく、ユーザーがよく聞く楽曲や楽曲発売年でのシャッフルが行える「インテリジェントシャッフル」などの機能で、ユーザーの好みに応じた音楽とのふれあい方、楽しみ方を提供できます。
PCのパワーも年々大きくなっていますし、ネットワークと接続することによって、そのパワーは計り知れないほどのものになります。ネットワークとPC、“ウォークマン”をつなげることによって生まれる“パワー”を提供するのがAシリーズの新しい方向性です。将来的な話ですが、映像やテキストなどについてもこの考え方は適用できると思っています。ネットワークに接続することによって得られる力を使って、新しい価値を作り出し、提供する――これが私たちの考えです。
ソニーは以前からハードとソフトは両輪だというメッセージを出していましたが、コネクトカンパニーはそれらに関連する部署を1つの枠組みにまとめ、ある意味では“ソニーの縮図”ともいえる取り組みを行っています。これは大きなチャレンジだと思います。
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