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究極の取材ツールを探す小寺信良(2/3 ページ)

» 2005年10月31日 12時00分 公開
[小寺信良,ITmedia]

 ただ、不満点がないわけでもなかった。それはバッテリーの連続録画時間が60分しかないことである。インタビューにしても発表会にしても、だいたい2時間コースというのが普通だ。Xactiは構造的に大型バッテリーが装着できないので、必ず途中でバッテリー交換となる。

 話の切れ目でうまく交換できればいいのだが、バッテリーが切れていたことに気付かないこともあり、10分ぐらい記録の空白ができたりすることもある。これでは困るので、やっぱり念のためにボイスレコーダーも一緒に使うようになった。

 もう一つの難点は、画角が狭いことである。一応35ミリ換算で38ミリあるので、ビデオカメラとしては広い方なのであるが、それでも話を聞くぐらいの距離で横に4人並ばれると、まず全体は入らない。全員を入れようと思って後ろの方に置くと、今度は音が遠くなってしまって聴き取りにくい。

 アクセサリーでワイコンでもあると良かったのだが、Xacti C1にはレンズ部にフィルタ用のネジが切ってないので、装着ができない。Xactiは今度C6が出るそうであるが、現在に至るまでワイコンなどが付けられるようにはなっていない。

Xactiに変わるもの

 Xactiは取材用としてかなりイイ線まで行ったのだが、残る不満点を解消したいと考えて、いろいろなものを検討した。

 まず最初は、録音しながら静止画が撮れるというソニーのビジュアルICレコーダー、「ICD-CX50」はどうかと考えた。これは動画は撮れないが、ボイスレコーディングしながらポイントポイントで静止画が撮れる。PCにファイルを転送すると、静止画をブックマーク代わりにして、音声ファイルの撮影時のポイントにジャンプできる。静止画でもこまめに撮影すれば問題ないかと思ったのである。

 だがこのモデルには、そうやって使うには構造的な問題があった。撮影するためには、いちいちテーブルに置いたレコーダーを拾い上げて、構えなければならない。録音しながら手に持ったり机に置いたりを繰り返していると、その音がガッチャンガッチャン記録されてしまって、とても後で聞き直すどころではないのである。かといって、2時間手に持ちっぱなしというわけにもいかない。

 カメラ部は回転するので、机に置いたままで撮影できないかと思ったのだが、ちょうどいい角度の時には自分撮りモードになって、画面が上下反転してしまう。ボイスレコーダーで自分撮りするヤツなんかいるわけネェだろと思うのだが、どうも発想が回転=自分撮りでヒットした過去のサイバーショットから転換できないのかもしれない。

 別の方法として、PCにUSBのWEBカメラを接続して録画する、というアイデアを試してみた。マイクロソフトのOneNote 2003には、WEBカメラの映像を録画して、文章とリンクできる機能がある。

 この方法ならば、バッテリーの面でXactiの弱点を補うことができる。ノートPCのバッテリーで駆動するわけだから、昨今のモデルならば少なくとも2時間程度でバッテリーが切れることはない。さらに録画中にメモしたテキストがブックマークとなって、次回再生するときには、そのメモを入力した部分の動画にジャンプすることができる。あとで重要な部分だけ聞き直すには、便利な機能だ。

 だがこれにも弱点があった。1つは、なかなか音声がちゃんと撮れるWEBカメラがないことである。ここ最近はビデオチャット向けの製品が中心ということで期待したのだが、マイクは同梱のヘッドセットを使うというものが多く、本体にマイクが付いたものは、選択肢が少ない。さらにこの手のカメラというのは、基本的に顔だけ撮れればいいという作りなので、レンズ視野がどれぐらいかといった資料が全くなく、選択に困る。

 まあそうも言ってられないので、とりあえずサンワサプライの「CMS-V15」という製品を購入して、OneNoteによる録画取材を数回試してみた。

 画角はさすがに狭く、35ミリ換算ではおそらく45ミリから50ミリといったところだろうか。フォーカスも手動だが、これはこちらも相手もほぼ定点なので、さほど問題はない。問題は、集音性能だ。

 元々WEBカメラが1人の会話音声を拾えればいいという作りなのだろうか、音質の明瞭度が欠けるので、複数人の集音には辛い。またこれはノートPCの設計も大きいのだろうが、HDDのシーク音が音声に混入して記録されるという困った問題が起こった。

 もう一つ困ったのは、いったん録画を停止してそのまましばらく放置しておいたら、何かのタイミングでOneNoteが不調になり、録画が開始できなくなったことがあった。いったんOneNoteを強制終了させてもう一度試したところ、再度録画できるようになったのだが、割とPCにありがちな問題を記録時にも抱えることになるという不安が残った。

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