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MDとMP3対応で一皮むけたHDDミニコンポ――ソニー「NAS-M7HD」レビュー(3/3 ページ)

» 2005年12月20日 11時36分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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 こうして取り込んだ音楽ファイルへは、ファンクションキーから「HDDジュークボックス」を選択することでアクセスできる。CD/MDから取り込んだファイル/フォルダは「録音フォルダ」に、MP3取り込みを行ったファイルは「取込みフォルダ」に、ANY MUSICで購入したファイルは「ダウンロードフォルダ」に収納される。

photo 「HDDジュークボックス」のトップ画面

 HDDに取り込まれたファイルはウォークマンなどのATRAC3対応デバイス(ATRAC AD)やUSBストレージ、MD、メモリースティックへ書き出すことができる。ATRAC ADとしてはウォークマン(E、Aシリーズなど)のほかカーナビ(NV-XYZ777)などが動作対応機種としてリストアップされているが、PSPとのUSB接続はサポートされておらず、接続してみてもエラーが出てしまう。本製品HDDに収納された楽曲をPSPで楽しみたい場合には、メモリースティック経由でデータをやりとりすることになる。なお、ANY MUSICで購入したファイル(ATRAC3形式)をMP3に変換する機能は用意されておらず、購入楽曲については本製品で楽しむか、ATRAC ADへ転送するしかない。

photo PSP(ファームウェア 2.60適用)をUSBケーブルで接続してもATRAC ADとしては認識されなかった
photo PSP接続時の画面

 CDやMDなどの各種機能切りかえと再生/停止、それに録音を除く画面内での操作は、ボリューム操作用ダイヤルの外周に設けられているボタンで行う。上下で画面内の移動、左で1階層戻る、右で1階層進むとなっている。項目の決定は「決定」ボタンで行う。ごく一般的といえる操作インタフェースだが、ボリュームダイヤルの外周に操作ボタンという配置はいただけない。

photo 押し間違いを誘発してしまうボリューム操作ダイヤル

 デザインとしては非常にスッキリ仕上がっており好感が持てるのだが、項目選択を行う際に誤ってボリュームダイヤルに触れてしまうことも多く、急な音量の変化に飛び上がってしまうことも幾度かあった。リモコンのように項目選択ボタンとボリュームコントロールのボタンは離してレイアウトしてあるほうが扱いやすい。

photo リモコンは項目選択ボタンとボリュームボタンが独立して配置されている

 ここまでに紹介した機能のほか、DLNAサーバーへの接続機能やエアチェック可能なAM/FMチューナーなども搭載されており、同じHDD搭載ミニコンポというカテゴリに位置する松下電器産業のSC-SX800(レビュー)より機能面での豊かさは大きく上回る。SC-SX800との比較で言えばMDスロットの有無が大きいのだが、個人的にはMP3での取り込み/書き出しに関する機能の方が、HDDという“ためこめる”大型ストレージを搭載する製品としては大きな要素であると考える。

 HDDをいかに活用するか、という問いに対して本製品はMDスロットの搭載とMP3への対応という回答を示したわけだが、そうなると40Gバイトという容量はいささか心もとない。また、約15秒という起動時間も気になる。常に電源ONにしておくという回避方法もあるが、気軽に使いたいジャンルの製品だけにもう少し短縮して欲しい。それに、HDDからCD、CDからMDといった機能切りかえも高速とはいえず、毎回5秒ほどの時間がかかる。これはNAS-A1(レビュー)にも見られた現象であり、改善を強く求めたい点だ。

 とはいえ、MD資産を活用可能な上に、ソニー製ポータブルプレーヤーにかかわらず書き出しが可能であるという2つのポイントが、他製品に見られないメリットであることに変わりはない。ITmedia Shoppingによれば平均実売価格は6万6000円前後(2005年12月20日現在)とそう高価でもなく、プラスアルファの機能を持ったミニコンポを探しているユーザーには一考の価値があるだろう。“個人が楽しむ音楽すべての母艦となる”というHDDミニコンポが目指すべき方向性をハッキリと指し示しており、ソニーには細部の充実をより高めた次期モデルの投入も期待してしまう。

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