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タッチパネル+高感度で使いやすい本格派――サイバーショット「DSC-N1」レビュー(4/5 ページ)

» 2005年12月29日 12時08分 公開
[小山安博,ITmedia]

高感度でも低ノイズを実現

 撮影機能にも目を向けてみよう。レンズは光学3倍のカール ツァイス バリオ・テッサーレンズ。非球面レンズ3枚を含む5群6枚構成の沈胴式レンズで、電源ボタンを押すとレンズカバーが開いてレンズがせり出し、約1.5秒で撮影可能になる。

 レンズは広角側でやや歪みがあるものの大きな問題が起きるレベルではなく、細部まで精細な描写をする。コントラストも高く、コンパクトデジカメとしてはまずまず優秀な写真が得られる。

 開放F値がワイド端でF2.8というのは普通だが、テレ端でF5.4というのは少し暗い。小型レンズを採用したせいかもしれないが、このあたりは悩ましいところ。焦点距離は35ミリフィルム換算で38〜114ミリとテレ側に寄っているのもやや残念だ。

 撮像素子は1/1.8型有効画素数810万画素Super HAD CCDを採用。画像処理エンジンは従来通り「リアル・イメージング・プロセッサー」を搭載する。シャッタータイムラグ約0.28秒、レリーズタイムラグ約0.01秒、撮影間隔約1.65秒(いずれも公称)とレスポンスも十分で、VGAサイズ/30fpsの動画撮影も可能だ。

 撮影モードはオート/プログラム/マニュアル/夜景/夜景&人物/風景/スノー/打ち上げ花火/ビーチ/ソフトスナップ/キャンドル。絞りとシャッタースピードが選べるマニュアル撮影に対応するので、それなりに柔軟な撮影が可能だ。

 撮影機能で最も大きなポイントは、コンパクトデジカメとしては高感度なISO800相当での撮影に対応している点だ。高感度撮影は、手ブレ/被写体ブレを抑える機能として最近のコンパクトデジカメではトレンドに近い状態で、ソニーでもDSC-T9では光学手ブレ補正と高感度撮影の2つの機能を搭載していた。残念ながらDSC-N1は高感度撮影機能のみの対応で、手ブレ補正機能は搭載していない。

 高感度での撮影は、どれだけ自然にノイズを消しているかが画質の肝となるが、ISO200は十分高画質で、ディテールは崩れ始めるが、ISO400でも十分実用範囲だ。ISO800は、シーンによっては実用に耐えうるレベルで、これまでの「とりあえず写ればいい」というレベルに比べればしっかりとした描写を実現している。高感度ノイズに弱いデジカメのISO400と見比べても、DSC-N1のISO800はなかなか優秀な結果を示していた。

 また、最低感度はISO64で、コンパクトデジカメではISO50が一般的なことを考えれば、その分わずかでもシャッタースピードが稼げ、低ノイズのDSC-N1におけるメリットとしてあげられるだろう。

 基本的に発色もよく、たいていのシーンで破綻のない描写は好感が持てる。総合的に見てこのクラスとしてはまずまずの写真が得られるので安心して利用できる。普段は最低感度で、夕刻や屋内ではISO200〜ISO400あたりで撮影するようにすれば、下手にフラッシュを使うよりも手ブレ/被写体ブレもなく、雰囲気のある写真が撮影できるだろう。

価格も高いが、完成度も高い

 DSC-N1のポイントは、なんといってもタッチパネル液晶を搭載した点だ。今回はタッチパネルのメリットを生かし切っていないところが惜しまれるところだが、それでも新しい可能性を期待させるデキには仕上がっている。

photo バッテリーはDSC-T9などと比べると大型。液晶の大型化にもかかわらず、撮影可能枚数は約300枚とがんばっている。メモリカードはメモリースティックDuo/PRO Duoに対応する。内蔵メモリは26Mバイト

 タッチパネルという“一芸”だけでなく、ISO800までの高感度撮影に対応しつつ低ノイズを実現、レスポンスもよく、カメラとしての機能も十分配慮されており、質感も含めてカメラとしての魅力もある。

 本体はやや大きめだが、その分バッテリーも大容量なものを採用、連続撮影枚数はCIPA規格で約300枚と健闘している点も見逃せない。

 実売価格が6万円程度と、ほかの800万画素機と比べて高めの価格設定というのが気になるところだが、液晶の3.0インチ+タッチパネルといったあたりが影響していそうだ。

 タッチパネルの便利さとデジカメとしての完成度は十分に分かるので、この価格設定をどう判断するかが購入のポイントとなりそうだ。

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