2005年も残りわずかとなったが、今年最後の「デジタル閻魔帳」は、麻倉怜士氏が2005年を振り返って特に印象に残ったモノを、ランキング形式で紹介してもらう。ハードだけでなくソフトまでカバーした“デジタル分野総なめ”の「麻倉怜士のデジタルトップ10」、その栄えある第1回目にランクインしたデジタルトピックスは以下の通りだ。
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それでは、まず10位から順を追って聞いてみよう。
――まずは10位ですが、製品ではなく放送コンテンツで来ましたね。
麻倉氏: はい。私のトップ10は、ハード/ソフトを問わず、さらにIT・オーディオビジュアル分野を幅広く網羅した“デジタル分野総なめ”のランキングです。今後、ITmedia年末恒例の行事にしていきたいです。
10位に選んだ「シービスケット」は、今年8月に初めてデジタルWOWOWに登場し、その後何回か放送されています。デジタルWOWOWは、BSデジタルの余裕ある放送波を生かしてハイビジョンをフルHD(1920×1080)で放送しているのが特徴ですが、この「シービスケット」はそのメリットを最大限に活用した“圧倒的な高画質”で放送されました。
昨年のWOWOW映画の高画質ランキング1位は「パイレーツ・オブ・カリビアン」だったのですが、今年の「シービスケット」は「パイレーツ〜」と同様に「デジタルインターメディエイト」(十分なダイナミックレンジ/色再現域/高解像度をキープしながら、劇場公開用から家庭向けまであらゆる配信フォーマットに変換可能なデジタルマスター)を採用しています。この最新のデジタル信号処理によって「パイレーツ〜」では解像度、階調性の良さ、精細感の高さが素晴らしかったのですが、今年のシービスケットはそれに加えて色の深み/厚み/透明感など、色にまつわる情報がすごく増えました。これを録画したBlu-ray Discはまさに宝物ですね。今年一番、視聴イベントで活躍したのが、このフルHDコンテンツでした。
――9位は、やはりiPodがランクインしてきましたね。選ばれたのはHDDタイプではなく、フラッシュメモリ型のiPod nanoですが、その理由は?
麻倉氏: iPodは、今さら言うことのないほどの大ヒット商品ですね。操作性の高さには以前から定評がありましたが、最近のiPodは音質も良くなってきています。ただし私は、記録メディアのトレンドを雄弁に語ったという意味で、iPod nanoを選びました。
この製品は、フラッシュメモリを採用しながら、4Gバイトという大容量を手に入れています。時を同じくして、松下電器産業がプロ用ビデオカメラのメディアにシリコンメモリ(SDメモリーカード)を使ったメモリーカードカメラレコーダーをリリースする、といった流れも出てきました。従来はHDDしかできなかった分野が、シリコンメモリで可能になったのです。このように既存メディアの枠を超えたという意味で、iPod nanoの登場意義は大きいですね。
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