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CESで分かったデジタルの新しいトレンド麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」(2/5 ページ)

» 2006年01月31日 23時59分 公開
[西坂真人,ITmedia]

――BD陣営はどのような動きを見せたのでしょうか。

麻倉氏: 一方、BD陣営の作戦は、従来の光ディスクの普及スタイルと同様にハイエンドから製品を投入し、次世代の良さというのを十分に浸透させた上で徐々にローエンドへ普及させていくという極めてオーソドックスな方針です。もともとセルソフトのリリース時期が違っていて、HD DVDは3月28日に出るのに対して、BDはそれから3カ月後ぐらいに出てくるスケジュールになっています。そういった意味で、CESにおけるHD DVDとBDの立場は明らかに違っているわけで、BDの方は発売日が近くなった時点でもう少しリアリティある動きが見られるのではないでしょうか。

――2つのフォーマットは今後どうなるのでしょうか?

麻倉氏: 会期中にワーナー・ホーム・ビデオのマーケティング責任者に、なぜBDも出すことになったかをきいたところ「次世代DVDが一本化できなかったということは、ある時期には両陣営のプレーヤーが市場に存在することになる。HD DVDプレーヤーを買ったユーザーはワーナーのタイトルを見れるがBDプレーヤーを買ったユーザーは見れないという状況は、すべてのユーザーにリーチをするというワーナーの立場からはあってはならないこと。だから両方出しすことにしたのだ」という答えでした。

――ワーナーとしても本当は1本化したいと思っているのですよね?

麻倉氏: そうですね。ただ現実問題としては、なんでも1本化しなければいけないというわけではないのです。ワーナーの担当者もその1例としてゲームソフトを挙げ、7つのプラットフォームでリリースしている「ハリー・ポッター」のゲームタイトルを見せてもらいました。そんなに数多くあっても、それなりにうまくハンドリングされているということです。すでにDVD/VHS/HD DVDと3つのフォーマットで出す予定でしたので、それにBDが加わって3つが4つになったとしてもそれほど影響はないというのがワーナーの見解です。ただしこの説明は、必ずしも100%正解というわけてばありません。確かにゲームには同一タイトル複数フォーマットがありますが、ゲームとビデオは異なるカテゴリーですね。それにゲームは、それぞれのフォーマットでできることが違います。

 これからはメーカーの総力戦になるでしょう。499ドルプレーヤーに対してソニーの評価は「思ったよりも売れるとなれば、(低価格機投入は)考えなくもない」ということでした。このように、CESでの動きで今後のトレンドが分かってくるのです。

――次は2つ目のトレンド「大画面化」について、CESでの動きはどうだったのでしょう?

麻倉氏: アメリカのユーザーはとにかく大画面が大好きです。特にスポーツを大画面で観たいというニーズは非常に強いです。そのために大画面化が進んできたというのがここ2〜3年の動きでしたが、今年のCESの大きな流れは、松下がデジタルのデバイスになって初めて“世界最大”という称号を得たということですね。103インチのプラズマテレビを展示して話題を呼びました。実は昨年まではこの“世界最大”は韓国勢同士の戦いで日本勢は蚊帳の外だったのです。一昨年はLG電子が開幕前日の記者会見で71インチのプラズマを披露して世界最大をアピールしたら、すかさず開幕初日のサムスンブースには80インチが展示してあったり、昨年はサムスンが102インチを展示して大きな話題を呼びました。

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