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れこめんどDVD「チャイルド・プレイ/チャッキーの種」DVDレビュー(2/3 ページ)

» 2006年02月10日 18時40分 公開
[飯塚克味,ITmedia]

映画は正直コケましたが……

 こうして完成したシリーズ最新作だが、全米での興行は何とか製作費を回収、そのほかの国ではかなり厳しい結果となった。日本では銀座シネパトスを中心に極めて小規模で公開された程度なので、劇場で見た人はほとんどいないだろう。しかしこのDVDは日米のDVD製作者の熱い魂が込められた極めてハイクオリティなものになっているので、購入価値は極めて高いと宣言しておきたい。

 まずそのストーリーだが、孤児となっていたチャッキーの子供の姿が描かれる場面から始まる。彼は殺人鬼の子供でありながら優しい性格で、品の悪い腹話術師とともに暮らしていた。度々お漏らしをしてしまうことで頻繁に怒られていた彼の夢は、いつか愛する両親を捜し当てて幸せに暮らすことだった。

 そんなある日偶然テレビで見かけたチャッキー夫婦の腕に自分と同じ“MADE IN JAPAN”の文字を見つけた彼は、両親に会うため、ハリウッドに向かう。再会を果たした親子は喜び合い、再び人間に戻ろうと、身近にいた女優ジェニファー・ティリーに目を付ける。

 ……と、ここまで書くと普通のホラー映画のようだが、実際の映画はギャグ満載! 子供にはとても見せられないが、大人であれば爆笑必至の展開となっている。

何でもありの展開に爆笑必死!クオリティは太鼓判

 まずオープニングがCGで描かれた精子の大行進なのに驚き。言うまでもなくトラボルタの「ベイビートーク」のパロディだ。人形に精子があるのか? などという疑問には一切おかまいなしに映画は進んでいく。

 親子の再会を果たした直後にはチャッキーと妻・ティファニーは子供が男であるか女であるかで大激論。パンツを脱がし、確認しあうのだが「ほら、ないでしょ?」「いずれ大きくなる!」とか見ていて思わず苦笑してしまう。挙句に子供の名前をグレンとグレンダにそれぞれが命名してしまう。これは史上最悪の映画監督エド・ウッドの「グレンとグレンダ」に由来するものだ。エド・ウッドについてはティム・バートンの映画で知っている方も多いだろう。

 子供がいるから、これまでの殺りく行為を悔いて夫婦が殺人をやめることを誓う場面もおかしい。ティファニーなんて殺した相手の遺族に電話をかけて「殺しちゃったの、ごめんなさい」なんて謝罪までしてしまう。

 そのほかにもとても書けないような低レベルのギャグから下ネタまでありとあらゆるところに笑いが忍ばせてあり、一瞬も画面から目が離せない。

 しかし、この映画最大の驚きは「ブロードウェイと銃弾」や「バウンド」のジェニファー・ティリーが自身を自虐的に演じていることだ。彼女は前作からティファニーの声も担当しているが、今回は自分自身の役で主演もしている。

 そんな劇中の彼女はジュリア・ロバーツにやきもちをやき、出たい映画のためには監督と寝ることもいとわない。マネージャーからは「体を売って処女の役をもらうわけ!」とののしられたりもする。もちろん映画のために役を演じているのだが、アカデミー賞のノミネートも受けた女優が自分をおちょくるのは相当な勇気が必要だったはずだ。自分はジェニファー・ティリーには好感以上に尊敬の念を抱いてしまった。

 そのほかの出演陣ではチャッキーの声にシリーズ全作に参加し続けるブラッド・ドゥーリフ。最近では「ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔」で蛇の下グリフを演じたが、数多くの作品に参加している優秀な俳優だ。息子・グレンの声は「ロード・オブ・ザ・リング」でホビット族のピピンを演じたビリー・ボイドが担当している。

 また映画の中で重要な位置を占めるパパラッチ役として「ピンク・フラミンゴ」の監督で知られるジョン・ウォーターズが参加。うれしそうに殺され役を演じている。音楽はピノ・ドナッジオ。「殺しのドレス」や「ミッドナイト・クロス」のブライアン・デ・パルマ作品以外では際立った仕事がないが、本作では久々にいい仕事をしてくれた。

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