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HD DVDとBD、同時に発売することはできない――Paramount次世代DVDへの挑戦(1/3 ページ)

» 2006年02月15日 12時27分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 前回の連載で紹介したWarner Brothersと同様、HD DVDとBD、両フォーマット向けにタイトルの発売を予定しているParamount Pictures。そのビデオ部門であるParamount Home Entertainmentに話を伺った。インタビューに応じたのは同社社長のトム・レジンスキー氏と、ワールドワイドマーケティング兼開発担当上席副社長のアレックス・カルロス氏だ。

 ただし取材後、レジンスキー氏はネット配信事業を行う新しいグループカンパニーの立ち上げのため異動し、現在、Paramount Home Entertainmentの社長には旧DreamWorksの幹部が就任している。これはParamountがDreamWorksを買収した事に伴う人事異動である。

 確認したところ、基本的な方針に変化はないとのことだったが、以下の内容はすべて異動前の経営陣によるコメントである点を心に留めておいていただきたい。

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市場を注意深く見ながらサポートしていく

 これまで取材したハリウッドのエグゼクティブの中でも、レジンスキー氏は特に気性の激しいタイプの人物だ。気が短く、質問も手短でなければ機嫌が悪くなる。しかしその一方で、質問に対する答えはいつも実にシンプル。回りくどい言い方をせず、本質的な部分だけをズバリと指摘してくる。

 昨年1月、Warner、UniversalとともにHD DVDへの強い支持を打ち出したParamountだが、3社の中でもっとも早くBDアソシエーションに参加したのが、Paramountだった。その理由については「プレイステーション3」発売による再生インフラの拡大と報道されているが、レジンスキー氏はもっと「シンプルな話」だという。

 「ゲーム向けフォーマットはいくつあると思いますか?」とレジンスキー氏。

photo Paramount Home Entertainment前社長のトム・レジンスキー氏

 前回のWarner Home Video・横井氏も同じ話をしていたが、答えは7種類。全く同じレトリックで話を始めるあたり、フォーマットが多種になることは致し方ないというハリウッドスタジオ共通のコンセンサスが感じられる。

 これは取材を通しての印象だが、どのスタジオも新しいフォーマットにより市場が生まれるのであれば、戦略を切り替えてきちんとビジネスをやっていこう。フォーマット戦争モードから“ビジネスモード”にスイッチが切り替わっている。

 「ゲーム業界には何年も前から複数のフォーマットがあり、それらは共存してきた。それはなぜなのか? 大きな企業が大規模な資本を投下し、フォーマットを支えているからだ。ソフト供給側が制御できる話ではない。(CATVの)セットトップボックスはどうだろう? ゲーム、セットトップボックス、光ディスク、いずれも特定フォーマットを継続する理由がある限り、われわれソフトを供給する側は各プラットフォームに同じようにタイトルを提供するのが理にかなっている。実際、われわれは両方に対して同じようにソフトを供給していく」(レジンスキー氏)

 とはいえ、つまでも両方のフォーマットが併存していく訳ではないだろう。次世代光ディスク向けタイトルが増えるほど、2つのフォーマット向けに個別のパッケージを提供していく際の流通側の負担は大きくなる。

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