三洋電機初のMPEG-4カメラとして登場した「DMX-C1」は何よりそのスタイルが独特だった。縦型DVカメラの応用編みたいだけど、ボディは長方形ではなく丸みを帯びて下に向かって細くなっており(だから右手で簡単に握れるし、握った手に優しい)、レンズ部は(銃のように)やや斜め上を向いて付いてた。右手で軽くひじを曲げて構えたとき、ちょうど自然な角度でレンズが正面を向く角度を研究して開発したという話であり、確かに、垂直に付いているよりこちらの方がなんぼか楽なのである。
DMX-C1は「DMX-C5」でスリムでやや大人っぽいデザインとなり、「DMX-C6」では動画撮影時の感度が大幅に向上して、室内など「明るくない場所」での画質が上がり、撮影範囲がぐっと広がった。
そしてDMX-C6の(後継ではなく)上位モデルとして登場したのが「DMX-HD1」である。
斜めにレンズが付いて右手でグリップして構えるというデザインコンセプトはそのままに、全体にグレードアップしての登場となった。
何しろ、
1)ひとまわりでかく重くなったが、その分グリップしやすくて扱いやすい。
2)レンズがちょっとでかくなり10倍ズームに。さらにオプションでワイコンも。
3)そして一番のウリだけど、1280×720ピクセル(720p)のハイビジョン動画が撮影可能。
4)でもその分パソコン側に高性能を要求。
5)VGA時は秒60コマという滑らかな動画もフォロー。
6)液晶モニターではなくデジカメでは日本初の「有機ELディスプレイ」搭載。
という具合。
つまりは「ハイビジョン動画デジカメ」なのである。「動画デジカメ」というよりは、「デジタルムービーカメラ」として……軽くてコンパクトなハイビジョンムービーカメラでありたいようだが、やはり一番の良さは「スチルカメラ」と「ムービーカメラ」が等価な点だと思うので、わたし的には「ハイビジョン動画デジカメ」なのである。
さてとりあえずレンズと画質の話からせねばなるまい。
レンズは38〜380ミリ相当の10倍ズーム。光学式手ブレ補正はなく、動画時は電子式手ブレ補正が働く(つまり画角が少し狭くなる)。明るさはズーム全域でF3.5。つまり、固定F値である。これは非常に良い。さらにNDフィルタも持っている。
撮影最短距離はワイド端スーパーマクロ時で1センチ。テレ端では1メートルとそこそこ。CCDは1/2.5インチの500万画素。一般的なコンパクトデジカメと同じだが、ハイビジョン動画のため、読み出し速度を高速化した代物だそうだ。
動画時の撮影モードはまずHDとNORMALに分かれていて、ボタンで切り替える。HDモードは1280×720ピクセルの30fpsでプログレッシブ。いわゆる「720p」規格のデジタルハイビジョン動画だ。データ転送レートによって、SHQ(9Mbps)とHQ(6Mbps)に分かれている。圧縮形式・ファイル形式は従来モデルと同様、MPEG-4で音声はステレオのAACで、ファイルはISO標準のMP4形式。
例えば松下電器産業のビデオカメラ、SDカードムービーはハイビジョンじゃなくてノーマルサイズのMPEG-2で9Mbpsなわけで、同じデータ転送レートでHD1はハイビジョンなわけだ。MPEG-4なので圧縮率が高いのである。
ちなみに2GバイトのSDメモリーカードにSHQだと28分ちょっとの記録ができる。
NORMAL時はVGAサイズでHR(60fps)とSHQとHQ(後者2つはDMX-C6などと同じ)、さらにはWeb用としてQVGAの15fpsが用意されている。QVGAの30fpsモードがなくなったのはちと残念。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR