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1年後にはBDタイトルの充実ぶりに驚くだろう――ディズニー次世代DVDへの挑戦(2/3 ページ)

» 2006年03月10日 18時08分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 「映像コンテンツの制作を行っていると、日々、少しずつ必要な容量が増えていくのを肌で感じることができる。DVDの場合は、制作を初めて1〜2年で容量がいっぱいになり、それ以上は何も詰め込めなくなった。現時点ですべての容量を使い切る必要はなく、将来にわたってコンテンツが改善していく余地、マージンがあることが重要だ」(クレマース氏)

プレステ3発売への期待

 もっとも、いくらディズニーが積極的なコンテンツ発売でBDを支援したとしても、それを再生するハードウェアがなければ意味がない。クレマース氏自身、最初の12カ月に発売するタイトルの本数が、ハードウェアの普及に依存することを認めている。すでにDVDというお化け規格がある以上、ソフトウェア側でハードウェアの普及を促すことは難しく、ハードウェアの普及によってソフトの売り上げ向上が期待できる、という考え方は、ディズニーだけでなくほとんどの映画スタジオが口にしていた。

 「ハードウェアの普及に関しては、プレイステーション3が発売されれば急速に立ち上がると見ている。(ゲーム機ユーザーのビデオディスク再生比率は低く、また発売の遅れがあるのではと指摘されていることに対して)プレステ3の発売日がいつになるのか、それはわからない。しかし近い将来、発売されることは間違いなく、それはBDソフトの売り上げに直結する。そうなれば、さらに積極的にBDタイトルを発売することが可能になる」(クレマース氏)

 一方、ディズニーは数ある映画スタジオの中でも、とくにインタラクティブ機能について積極的に仕様追加を要望してきた。BD-J(BDのJavaランタイム環境)にピクチャー・イン・ピクチャー機能の追加を迫ったのは、ほかならぬディズニーだ。それ以前にはマイクロソフトと「iHD」の仕様開発を共同で行っていた経緯もある。

 なぜ、そこまでインタラクティブ機能にこだわるのか。

 「現時点でやりたいこと、実装することももちろんあるが、制限を可能な限りなくすことで、将来、開発を行う余地を残したい。われわれのコンテンツに組み込んでいきたい機能は大きく分けると3つのタイプがある。1つは、より簡単でリッチなユーザーナビゲーションの機能。2つめが、より楽しめるゲーム。そしてインターネットを通じた機能の提供だ」

 「それぞれについて、個別に開発に取り組んでいるので、各機能の使いこなしに慣れてくれば、さまざまなフィーチャーを加速度的に採用していくことになる」とベン・カー氏。

 マネージド・コピー機能に関しても、「大変歓迎している。新しいコンテンツ流通の可能性を秘めていると考えており、その事業性を模索している」(カー氏)と話した。

 もっとも、マネージド・コピーを行うためには、コンテンツ提供者側がサーバを構築し、課金の仕組みを確立させなければならない。サーバやサーバ上で動作するミドルウェアの実装は進んでいるのだろうか?

 「いつ可能になるのか、それが今年なのかどうかも含めて、まだ言うことはできない。しかしディズニーとしてマネージド・コピーに対してどのようなスタンスか? といえば、非常に積極的であると言える。マネージド・コピーは消費者にとって良いことで、われわれもフレキシブルなビジネスモデルを構築することができるからだ」(カー氏)

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