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玩具から“大人の嗜好品”へ――「LITTLE JAMMER Pro. tuned by KENWOOD」インタビュー(3/3 ページ)

» 2006年03月14日 18時54分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 「今回は曲データのフォーマットを変えていますから、残念ながら従来製品のカートリッジは使用できません。その代わり、音質は格段に進歩したので、ユーザーの方々にも納得してもらえるのではないかと期待しています。

 実際、今まではスペック不足のために、実現できなかった要素がたくさんありました。とくにピアノはストリングスが入ると再現が難しくなるのですが、今回は対応できます。ベンド(抑揚)を付けたりすることもできます。それが何を意味するかというと、たとえば著名アーティストの名演奏やアレンジを再現することができるようになったわけです。標準カートリッジもグレン・ミラーオーケストラのアレンジをほぼ再現した形になっていますが、これはジャズ喫茶などに通っていた人たちが当時聞いていたアレンジなので、親しみやすいと思います」

――価格設定は従来製品の倍以上となりましたが、想定ユーザー層に変化はないのでしょうか?

 「爆発的な台数が出るか? というと難しい価格設定だと思いますが、趣味に出費できる範囲だと考えています。われわれが想定するユーザーは、どちらかというと音楽に対してしっかりした価値観をもった方々――たとえば、LPレコードを大切に持っているような“大人”ですね。彼らは、LITTLE JAMMERに対して、新しいオーディオという捉え方をしていますので、良いものを作れば受け入れられると思いますし、それが製品のポリシーでもあります。実際、2004年12月に『スウィングジャーナルエディション』を3万7800円で限定販売(3000セット限定)したのですが、あっという間に完売してしまいました。大型ホビー店や百貨店などでは“高いほう”が売れました。

 ただ、LITTLE JAMMERは、いわゆるジャズマニア向けの製品ではありません。40〜50歳代のコアユーザー層が原体験として聞いていたのがジャズや70年代ポップスだったということでしょう。ユーザーアンケートなどで分かってきたのですが、逆にこの商品でジャズが好きになったとか、若い頃を思い出したという声も多いですよ」

――ゲストプレイヤーの追加も期待されますが、今後の商品展開を教えて下さい。

 「新製品の拡張仕様では、ゲストプレイヤーを数珠繋ぎに連結できるので、ビッグバンド編成の拡張が企画されています。たとえば3体のプレイヤーを1つの台に乗せたゲストプレイヤー「ホーンセクション」は、6月に発売することが決定しています(予価、1万2800円)。また、要望の多かったボーカリストも年末には登場する予定です。それぞれのゲストプレイヤーには、そのパートを生かすROMカートリッジも付属します。

 一方でLITTLE JAMMER専用のジャズバーのディスプレイラック(1万80000円)やミニチュアのテーブルセットなども販売していますが、次は“光の演出”を加えたいですね。たとえばLITTLE JAMMERと連動するイルミネーションなど、さまざまな企画を考えられると思います。LITTLE JAMMERが持つ世界観は、1年、2年かけて拡張していきたいと考えています」

photo 照明によって味が出るLITTLE JAMMER。グラス片手にゆっくりと楽しみたいという人も多いのでは?

 「バンダイとしては、LITTLE JAMMERのハードだけを売るのではなく、周辺商材やソフトウェアを組み合わせた“音楽のあるライフスタイル”を提案していきたいのです。たとえば、お父さんたちが欲しいのは書斎といわれていますが、LITTLE JAMMERを置いたところがお気に入りの空間になる。実際、LITTLE JAMMERを見ながらお酒を飲む人が大勢います。いままで仕事一筋でやってきて、ようやく自分の時間を持つ余裕ができた人も大勢いると思いますから、その人たちに憩いの場を提供していきたいですね」

photo 12月から販売している「オーナーズクラブオリジナルディスプレイラック」。現在、オーナーズクラブの会員は8000人程で、毎月1000人ほど増えている状況。季節毎に発行されるオーナーズクラブの会報「Live Hour」には、ジャズの聴けるお店や販売店の紹介に混じって、オーナー自慢の“ジャマーディスプレイご紹介”コーナーも
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