ワンセグ放送は、地上デジタル放送に割り当てられている13セグメントの電波のうち、1セグメントを使って放送される移動体向け放送サービスだ。UHF帯を使用するため、屋外を移動しながらでも比較的安定したテレビ放送とデータ放送を楽しめるのが特徴で、携帯電話やカーナビへの採用が進んでいる。
ワンセグは、2006年4月1日からNHKおよび民放各社が放送を開始する予定だ。当初はサイマル放送で受信エリアも限られてしまうが、「DVD-LX97」はワンセグ対応チューナーのほかに地上アナログ放送チューナーも内蔵しており、地上デジタル放送が受信できない地域でもTV放送を楽しめる。過渡期の製品といえばその通りだが、ワンセグ受信エリアの懸念を解消し、また2011年以降もテレビとして使える保証ができた点は評価できる。なお、ワンセグの放送エリアについては、D-Paのホームページに詳しく記されている。
ホイップアンテナを引き出し、「デジタル/アナログ/切」ボタンで「DTV」を選択すると、まず真っ黒な画面が10秒ほど続き、次に「起動中」という表示が3〜4秒間。さらにチャンネル番号表示で1〜2秒かかり、やっと画面が表示された。トータルで15秒程度か。
受信画面は、9型ワイドの大きな画面がアダとなったか、全体的にぼやけた印象だ。小さな文字などは判別しにくいレベルで、映像ソースの解像度不足は否めない。考えれて見れば、ワンセグ放送の解像度は320×240ピクセル(QVGA)または320×180ピクセルが基本。携帯電話サイズの画面を9型ワイドに引き延ばせば、フォーカスが甘くなるのは当然だろう。画面を小さくすれば相対的にキレイに見えるはずだが、残念ながら同機の場合はサイズ変更が不可能だ。
チャンネル設定は、オートスキャン機能を使ってワンタッチ検索できる。見つけたチャンネルをリスト化して呼び出しの手間を省くことも可能。リモコンの「チャンネルリスト」で表示し、十字キーと「決定」キーで選局すればいい。チャンネルリストは「ホーム」「おでかけ」の2種類を設定可能だ。たとえば自宅周辺で受信したチャンネルは「ホーム」に、会社や学校で受信できたものを「おでかけ」に設定しておけば、移動後、すぐにテレビを楽しめる。
ワンセグの特徴でもある「字幕」表示や「二カ国語音声」の切り替えにも対応している。ただ字幕表示に関しては、全画面表示のテレビ画面に重なってしまうのが残念。たとえば携帯電話では縦長液晶パネルの下に余白ができ、ここに字幕を表示する。しかし同機の場合は画面が固定のため、どうしても画面と重なる。たとえば、最近のバラエティ番組は過剰なほど字幕(というか煽り)が出てくるが、この上に字幕が重なり、見にくい場面が何度かあった。やはり画面サイズと字幕の表示場所に関しては改善の余地があると思う。
ワンセグの場合、電波状況が多少悪くても(アンテナ表示が1〜2本でも)映像は安定し、アナログ放送のようなノイズは見られない。ただ、全体的に甘い画面はワンセグ受信端末に求められる機能について考えさせてくれた。たとえばソニーのノートPC「VAIO type T」では、2つの表示モードを用意して、画面サイズや場所の移動も可能になっている。もちろんこれは、PCで“ながら作業”するためのものだが、同じような大型画面でワンセグを受信するデバイスなら、実解像度で表示するなどして見やすくする工夫が必要だろう。
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