発売日:2006年2月24日 価格:3990円 発売元:アミューズソフトエンタテインメント 上映時間:115分(本編) 製作年度:2005年 画面サイズ:シネマスコープサイズ・スクイーズ 音声(1):ドルビーデジタル/6.1chサラウンドEX/韓国語 音声(2):DTS−ES/6.1chサラウンド/韓国語 音声(3):ドルビーデジタル/5.1chサラウンド/日本語 |
果てしなく広がる氷の世界。南極は陸地の上に氷が張り巡らされた大陸であり、これまでにも多くの探検家が地球上の南端を目指し、幾度となく冒険を繰り広げてきた。小学校の教科書にアムンゼンとスコットの2つの探検隊の話が載っていたのも、記憶に強く残っている。
今回取り上げる「南極日誌」は南極到達不能点を目指す現在の探検家たちの物語だ。探検家という人種はあえてほかの人々が向かおうとしない過酷な場所を選んで、自分の限界に挑もうとする人々と言える。常人離れした彼らのドラマがどのように展開するのか、またパッケージからはホラー的な要素も感じられ、往年の名作「遊星からの物体X」的な雰囲気も期待しつつ、ディスクを再生した。
興味深い南極生活とは
冒頭から壮大なロングショットの空撮が映画的なスケール感を演出する。ロケは「ロード・オブ・ザ・リング」と同じニュージーランドで行われた。どこまでも果てしなく続く氷床はこの映画がまぎれもなく大作であることを象徴している。その中で行軍を続ける6人の探検隊たち。広大な自然の中、ポツンと映し出される人間の存在はあまりにも小さなものだ。
最初のうちは到達不能点を目指す彼らの目的と日常が淡々と描かれる。監督のイム・ピルソンはこれが監督デビュー作だが、短編映画の世界では確固たる地位を築いてきた。それだけに些細な表現でも人物描写にはキレがあり、各キャラクターの性格が手際よく紹介されていく。
南極での生活ぶりも小便を小ビンに入れて持ち帰らねばならぬことや、氷で作ったケーキをみんなで食べるところなど、丁寧な取材が生きた描き方になっている。また南極は半年間に渡りずっと日中で、その後、半年間ずっと太陽が当たらないことなども説明されていく。彼らの旅は白夜が続いている残り60日と、タイムリミットがあるということも明かされていく。
物語が大きく動くのは80年前に遭難したイギリス隊の日誌を掘り起こしてからだ。少しずつ奇妙なことが起こり始め、彼らの日常が変化していく。南極にはウイルスがないのに、風邪をひく隊員が出たり、記録写真に変なものが写ったり、無線も通じなくなっていく。そして事故が起こり、隊員たちが一人ずつ姿を消していく。そんな状況でも強引に探検を続行しようとするチェ・ドヒョン隊長の顔からは徐々に生気が消えていく。今回探検に初参加した医療担当の若い隊員、ミンジェはチェ隊長に不信感を募らせていくのだが……。
映画を見ていて不思議なのはこの映画がホラーなのか、心理サスペンスなのか、よく分らなくなっていく点だ。様々な伏線が張り巡らされているように見えるのだが、それが後に生きているとは言い難い。
また、イギリス探検隊の呪いのようなものがあるのかと思えるが、それも思わせぶりな表現のみ。明確な答えは映画の中に用意されていない。
特典や音声解説を聞けば、監督や出演者たちの狙っていることはよく分るのだが、本編を見ている限りでは途中で緊張感が途切れてしまい、ラストまでテンションを持続しきれていないのが何とも残念だ。
その辺はイム・ピルソン監督の手腕がバランスを欠いているからと思われるのだが、それでも彼がこの大作を6年がかりで完成にこぎつけたことには驚かざるを得ない。製作費は85億ウォン、日本円にすると10億円を超えている。
出演者も現在の韓国映画界を代表するメンバーがそろっている。チェ・ドヒョン隊長を演じるのは「シュリ」「反則王」「殺人の追憶」など名作が並ぶソン・ガンホ。狂気に駆られて隊員たちを死に導くリーダーという役柄は「パーフェクト ストーム」の船長、ジョージ・クルーニー以上にカリスマ性に満ちており、申し分のないキャスティングだ。若い新人隊員ミンジェ役には「リメンバー・ミー」「春の日は過ぎゆく」を経て、「オールド・ボーイ」の黒幕で鮮烈な印象を残したユ・ジテ。ベース・キャンプで隊員たちと連絡を取り合う女性スタッフ、イ・ユンジンには「オールド・ボーイ」でチェ・ミンシクの相手役を務め、可憐な表情が忘れがたいカン・ヘジョンがあたっている。
また共同脚本に「ほえる犬は噛まない」「殺人の追憶」で一躍注目を集めたポン・ジュノの名があるのも見逃せない。音楽は「リング」や「GHOST IN THE SHELL攻殻機動隊」で世界的に有名な川井憲次が「セブンソード」に続き、ダイナミックなスコアを書き上げている。
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