光学式手ブレ補正と高倍率ズームで一世を風靡した松下電器産業の「LUMIX」シリーズが放つ今年の春モデル「LUMIX DMC-FX01」は、望遠とは逆のアプローチである“広角”を売りにした製品だ。10倍、12倍といった高倍率は分かりやすいセールスポイントだが、広角には広角のメリットがあり、それに光学式手ブレ補正を組み合わせると、これまでは撮れなかった写真が撮れるようになる。
ようやくISO800以上の高感度撮影にも対応し、ますますスキがなくなってきた人気シリーズFXシリーズ最新モデルの実力を調べてみた。
FX01の本体は、兄弟機となるDMC-FX9とほぼ同等の約94.1(幅)×51.1(高さ)×24.2(奥行き)ミリ、132グラムを実現しつつ、レンズの焦点距離は35ミリ判換算で28ミリからと、より広角での撮影を可能にした。
しかもズーム倍率を3.6倍とすることで、テレ側もFX9とほぼ同等の102ミリまで延ばし、使い勝手はほとんど変わらない。ただ、開放F値はテレ側でF5.0からF5.6へと暗くなっており、このあたりは少し気になるところだ。
ワイド端で28ミリというと、昨今のコンパクトデジカメでは決して珍しい部類ではないが、FX9とほぼ同等の、いわゆる「薄型コンパクト」でありながら28ミリを実現したところがFX01のポイントで、もちろんこれまで通り光学式の手ブレ補正「MEGA O.I.S」を搭載しているので、手ブレにも強いという点も見逃せない。
広角28ミリのメリットは、言うまでもなくこれまでよりも広い範囲を撮影できる点にある。特に室内で大人数を撮るようなシーンで、これ以上後ろに下がれないといった場面でも全員を収められる可能性が増えるし、屋外は遠近感が強調されたこれまでにない写真を撮ることができる。
ただ、広角のメリットはなかなかカメラの初心者には訴求しづらいポイントではある。これまでの広角レンズ搭載のカメラは、どちらかといえば写真に詳しいユーザー向けで、ライトユーザー向けのものはあまり多くなかった。
松下電器はLUMIXで、デジカメの高倍率ズームけん引役となったが、そもそも“高倍率”というのは売りやすいポイントだ。逆に“広角”は、特にライトユーザーには分かりにくい特徴ではあるだろう。松下自身も、FX01の発表会や米国で開催されたPMA 2006でこのメリットをユーザーへどのように訴えていくか「難しい」と語っており、高倍率をブームにした松下のアプローチを、ユーザーがどのように評価するのかも注目されるだろう。
さて、それはともかくとしてFX01である。前述の通り、ボディはおおむねFX9と同等のサイズとデザインで、大ヒットとなった兄弟機を踏襲、基本的な機能もほぼ同じだ。
大きな違いは、ISO1600という高感度撮影に対応した点。これまでLUMIXは、光学式手ブレ補正を搭載して手ブレには強かったが、シャッタースピードが遅い場合の被写体ブレには対応できなかった。今回から高感度撮影に対応したため、手ブレにも被写体ブレにも強いデジカメに仕上がった。
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