大画面テレビの購入を考え始めると、ハイビジョン映像をそのままの画質で録画できるレコーダーも欲しくなるものだ。しかし、次世代DVDの動向を考えると、今の時点でレコーダーの買い替えにはなかなか踏み切れない、あるいは両方購入する余裕はないという人も多いことだろう。
そこで今回は、薄型テレビとハイビジョンレコーダーの機能を併せ持つ“HDD内蔵テレビ”に着目。画面サイズも手頃な東芝“REGZA”「32H1000」と日立“Wooo”「W32L-HR9000」を借り、比較しながら録画機能をチェックしてみよう。なお製品の概要については、それぞれの発表記事を参照してほしい(REGZA発表記事、Wooo発表記事)。
HDD内蔵型の良いところは、まず手間なく録画が開始できることだ。レコーダーの電源を入れたり、入力を切り替えたりすることなく、リモコンの「録画」ボタンを押すだけで見ている番組を即座に録画できる。また、試用した2機種は複数のチューナーを搭載しており、裏番組録画やダブルウィンドウによる二番組の同時視聴も可能だ。
東芝REGZAの録画時間は、地上デジタル放送のHDレートで約17時間、SD画質なら約42時間。BSデジタルの場合、HDレートで約14時間となる。MPEG-2エンコーダーを使った場合はSPモードで約69時間。画質モードは、リモコンの「クイック」ボタンで選択できるほか、HDD残量や録画できる時間の目安も表示してくれる。
内蔵のMPEG-2エンコーダーを使用してダウンコンバート録画することも可能だ。この場合、XP(高画質モード)で約50時間、SP(標準)モードは約95時間、LP(長時間)モードが約181時間、EPモードは約286時間となる。EPモードは解像度をさらに落としてしまうため、ハイビジョン映像を録画するなら最低でもSPモード以上にしたい。
250GバイトHDDを内蔵する日立Woooの場合、地上デジタルハイビジョンは約23時間、SD画質なら約69時間の録画が行える。注目は、今回から採用されたトランスレート記録モード。ViXS Systemsのチップを採用し、ハイビジョン解像度を維持したまま録画時間を増やすことができる。もちろんMPEGエンコーダーを利用してVR録画も可能。S端子/コンポジット接続なら外部入力ソースも録画できる。
トランスレート録画には「TSE1」と「TSE2」の2モードがあり、TSE1ならハイビジョン番組を約50時間、TSE2では約65時間録画できる。ただし、デジタル放送であってもSD(スタンダード)画質の番組をTSE1で記録すると、逆に録画時間が短くなってしまうため、録画する番組によって使い分ける必要がある。なお、録画モードやHDD残量は、リモコンの「べんりボタン」から確認できる。
実際に画質をチェックしてみると、確かに解像感は失われていなかった。ただし、動きの早い部分には細かいブロックノイズが発生していて、情報量が減ったことが良くわかる。スポーツ中継などは通常のTS録画のほうが適しているだろう。もっとも、バラエティ番組やドラマなどでは、全く違和感なくハイビジョン映像を視聴できた。
便利なのが「クイックタイマー録画」だ。録画ボタンを2回押すとになる。押す毎に「クイックタイマー表示なし/番組終了まで/30分/1時間/2時間/3時間/4時間/5時間/6時間」と切り替わる仕組みで、基本的に「番組終了まで」を選択すれば、視聴中の番組を最後まで録画できる。録画中にも再度クイックタイマー設定を呼び出して録画時間の設定を変更できるなど柔軟性も高い。
ただ、「番組終了まで」に関しては、デジタル放送のEPGデータを参照しているため、アナログ放送やビデオ入力時には利用できない点に注意だ。
テレビと録画機が一体化している場合、悩まされるのが故障時の対応だ。PCユーザーなら良く知っているように、HDDのライフサイクルはテレビよりも短い。以前に比べれば信頼性は向上したものの、それでも10年といわれるテレビには到底及ばない。
そうなると、テレビを買い替えるまでに、1度や2度はHDD交換を行うことになるわけだが、昔のテレビデオのように「ビデオが故障したらテレビも一緒に修理に出す」ことになるのだろうか?
メーカーに確認してみると、日立Woooの場合は「基本的にサービスマンが訪問して対応することになる」。一方、東芝REGZAでは「HDDユニットは補修部品として入手可能。ユーザー自身が交換することもできる」と話している。少なくとも、HDDの故障が原因で“自宅からテレビがなくなってしまう”可能性は低いようだ。
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