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日立“Wooo”に採用──HD対応エンコードチップ「XCode 2100」シリーズで“2倍”記録できる理由(1/2 ページ)

» 2006年04月06日 22時57分 公開
[岩城俊介,ITmedia]
photo XCode 2121

 ViXS Systemsは4月6日、ハイビジョン映像に対応するマルチエンコードチップ「XCode 2121/2111」を発表した。

 XCode 2121/2111(XCode 2100シリーズ)は、MPEGエンコードおよびMPEG HD映像のトランスレート/トランスコード、コンディショナルアクセス、コピープロテクションをサポートするマルチエンコードチップ。4日に発表されたハイビジョン録画機能を搭載する日立製作所製プラズマテレビ「Wooo 9000」シリーズ(関連記事参照)にいち早く搭載された。XCode 2121はハイビジョン対応のXCodeHDエンジンを搭載し2ストリームぶんの処理(デュアルエンコード)に対応し、同2111は1ストリームぶんの処理(シングルエンコード)に対応する。

  • あらゆるビットレートにおいて高画質さを実現
  • ハイビジョン対応のXCodeHDエンジンを搭載
  • 2本のD1解像度MPEG-2/4 SP/ASPエンコードに対応
  • コンテンツプロテクション(復号化/暗号化)をサポート
  • TS(トランスポートストリーム)入力/出力(PIDフィルタリング)に対応
  • 映像フォーマットの変換(TS←→PS(プログラムストリーム)←→PES(パケタイズド・エレメンタリストリーム)←→ES(エレメンタリストリーム))に対応
  • ミラーエンコードに対応
  • PCIおよびPCI Expressインタフェースをサポート
  • シリーズ共通のピン/APIを採用
  • 低消費電力(0.13umプロセス)

 などの機能・特徴を備える。

XCodeチップのラインアップ
XCode 2121 HD対応2ストリーム同時入力
XCode 2111 HD対応1ストリーム同時入力
XCode II 4ストリーム同時入力対応
XCode II-L 2ストリーム同時入力対応
XCode II-E 1ストリーム同時入力対応
XCode II-N 2ストリーム同時入力対応(ノートPC向け)
XCode II-NS 1ストリーム同時入力対応(ノートPC向け)

 同社エンコードチップXCodeシリーズはXCode IIとして、PC向け製品(PC内蔵、TVキャプチャーカード、エンコードカードなど)に多く採用されている。

 国内ではソニー「VAIO type X Living(などデスクトップPC)」、日立製作所「Priusシリーズ」、アイ・オー・データ機器「GV-MVP/GX2」、カノープス「MTVX-WHF」、プレクスター「PX-C200P」、ソニー「ロケーションフリーベースステーションパック(LF-PK1)」などがある。

 XCode IIシリーズは他社製チップと比較して、低ビットレート時でも画質劣化が少なく高い画質を維持でき、結果として録画データサイズの圧縮にも繋がるメリットを大きな特徴とし、評価も高い。

 今回のXCode 2100シリーズはHD映像に対応する「XCodeHDエンジン」を備え、高速・高画質にてHD映像のビットレート変換、およびSD映像へのダウンスケールやMPEG-2からMPEG-4へのトランスコードを1チップで実現する。例えば地上デジタル放送などのHD映像は、TSフォーマットで入力し、パケットを分離(ディマルチプレックス)し、暗号の復号(地上デジタル放送の場合はMulti2。ほかDES、3DES、AES、DVB、BCAS、S/M Card、Open Cableなどもサポートする)を行う。次にビットレートを変換(トランスレート)を実行し、再暗号化し、パケットを結合(リマルチプレックス)した後に改めてTSフォーマットで出力、という流れを同チップ内で完結できる。

photo XCode 2100シリーズを採用するハイビジョンレコーダー搭載42V型プラズマテレビ、日立製作所「W42P-HR9000」

 日立製作所「Wooo 9000 HRシリーズ」では通常のTSモードのほかに、TSE1、TSE2という録画モードが用意されている。ビットレート24Mbpsで配信するBSデジタル放送の場合は10.8Mbps設定のTSE1モードを、17Mbpsの地上デジタル放送は8Mbps設定のTSE2モードを用い、録画ビットレートを半分とする。結果、データ容量も半分になることで実質的に2倍録画できるというわけだ。

 もちろんビットレートが半分になることで物理的にはTSモードより画質が劣ることになるが、XCode 2100シリーズにより画質の劣化も見た目ではほぼ分からないほどのものとなっていた。


 また従来のXCode IIシリーズで実現する製品は存在していたが、MPEG-4への高速・高画質トランスコードを可能とする機能も改めてフィーチャーされることになると思われる。iPodやPSP、動画再生対応の携帯電話などへの活用が想定される。XCode 2100シリーズでは、1920×1080ドットのフルHD解像度のソースを、1440×1080ドット/720×480ドット(フルD1)/176×144ドット(QCIF)など多様な解像度/ビットレートに自在に変換が可能である。MPEG-2(MP@ML、トランスコード/トランスレート時はMP@HL/MP@ML)、MPEG-4 SP(L0-L3)/同ASP(L0-L5)/PSP(メモリースティックビデオ)、3GP(FOMA)、iPod(MPEG-4 SP)フォーマットに対応し、1本のアナログ入力から2つの異なるMPEGストリームを生成する「ミラーエンコーディング」もサポートする。

photophoto (写真=左)XCode 2121を搭載するリファレンスカード。各種入出力用インタフェースに加え、Mini PCIスロットを備える。例えばピクセラ製のMini PCI型地デジモジュールなどを実装できるようになっていると思われる。
(写真=右)XCode 2121におけるエンコード時間の例。2時間ぶん/17.1Gバイトの19MbpsフルHDデータをDVDへ記録記録できるサイズとなる5.2MbpsフルD1へ解像度・ビットレート変換を行う場合は約1時間(2倍速)、4時間ぶん/9Gバイトの5MbpsフルD1データを4.68Gバイトの2.6Mbpsデータへビットレート変換は20分、30分の6MbpsフルD1データから500kbps CIFデータ(128Mバイト以内)は約5分で完了する

photophoto XCode 2121のブロック図(写真=左)とB-CASなどスマートカード認証時の信号の流れ(写真=右)。TSフォーマットで入力し、暗号化/復号化エンジン(Encryption/Decryption Engine)で復号化→トランスコード/レートエンジン→再度暗号化/復号化エンジンで暗号化→TSフォーマットで出力ないし、PCI/PCI Expressへ送出するといった流れとなる

 ViXS Systems代表取締役社長兼CEO Sally Daub氏は「ハイビジョン映像に対応し、マルチエンコード技術を搭載するXCode 2100シリーズにより、メーカー/ベンダーは低価格を保ちながら機能的/柔軟性のあるハイビジョン対応製品を製造できることが強み。ViXSは今後、組み込みタイプの家庭用AV機器やPC向けTVチューナー製品のほか、無線テレビや監視カメラなどのソリューションなどもターゲットに展開する」とViXS製チップのメリットを掲げる。

photophoto ViXS Systems代表取締役社長兼CEO Sally Daub氏(写真=左)、ジャパン カントリー マネジャー 東正次氏(写真=右)
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