バッファローは6月5日、IEEE 802.11nのドラフト仕様に準拠した無線LAN製品「AirStation NFINITI」シリーズを発表した。7月上旬よりブロードバンドルータや無線LANカードなど4製品を順次発売する予定だ。発表会では、「実効80Mbps以上」というスループットを生かし、平均17MbpsのフルHD映像を3台のクライアントに同時配信するデモンストレーションを披露した。
製品型番 | 概要 | 価格(税抜き) | 発売時期 |
---|---|---|---|
WZR-G144N | BBルータ単体 | 2万6300円 | 7月上旬予定 |
WLI-CB-G144N | 無線LANカード | 1万1500円 | 7月上旬予定 |
WZR-G144N/P | BBルータ、カードセット | 3万1500円 | 7月上旬予定 |
WLI-PCI-G144N | PCIバス用無線LANアダプタ | 1万3600円 | 7月中旬予定 |
IEEE 802.11nは、2006年1月にIEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers:電気電子学会)でドラフト1.0が承認された次世代無線LAN規格。周波数帯域の拡大(20MHz/40MHzが利用可能)や複数のアンテナを使って「MIMO」(multiple input multiple output)技術により、通信のスピードアップと安定性向上を図っている(関連記事)。2007年4月には正式な規格となる見込みだ。
ドラフト仕様では周波数帯やアンテナの組み合わせなどが複数規定されているが、バッファローの場合は、2.4GHz帯の20MHzを使用し、アンテナは2×3(送信側に2つ、受信側に3つ)という構成。伝送速度は理論値で144Mbpsほどだが、実効スループットでも80Mbps以上になるという。同社ブロードバンドソリューションズ事業部マーケティンググループリーダーの石丸正弥氏は、見通しの良い屋外と戸建て(2階建て)住居で実際に検証したデータを取り上げ、そのスピードをアピールした。
「802.11a/gが実効32Mbps程度であるのに対し、11nでは80Mbpsと有線LANに匹敵する通信速度。またMIMO技術により、マルチパス(反射波)の多い場所でつながりやすい安定性もメリットだ」(同氏)。
ただし、ドラフト仕様はあくまで暫定版。今後修正が加えられる可能性が高い。この点について石丸氏は、「細かい修正が入るため、現時点で今回の製品をアップグレードできるとは断言できない。しかし、正式版はドラフト仕様との互換性をとるため、正式版の製品と混在させた場合でも、少なくとも現在の80Mbps以上で繋がる」と説明した。
また同社は、今後の製品ロードマップも公開した。9月頃をメドに家電製品のイーサネットポートに接続できるイーサネットメディアコンバータやUSB接続の無線LANアダプタをリリースするほか、有線ポートがGigabitイーサネットに対応するブロードバンドルータも予定(今回は100Mbps)。また今回は2.4GHz(802.11b/g互換)対応だが、10月以降に5GHz帯も使用できるデュアルバンド対応のルータや無線LANカードを投入する予定だ。
「地上デジタル放送や薄型テレビが普及し、一方ではオンデマンドTVのように光ファイバー経由でハイビジョン映像を視聴できるサービスも始まった。気が付くとリビングルームに多くのネットワーク製品が入っている。AirStation NFINITIは、ハイビジョン時代の無線LANだ」(バッファローの山口英利常務)。
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