発売日前に入手した北米版Blu-ray Discソフト「Hitch」(邦題は「最後の恋のはじめ方」)に続き、同じくSony Pictures Entertainment(SPE)から発売された「Underworld:Evolution」「Fifth Element」(フィフス・エレメント)の品質を、「VAIO Type A」とフルHD液晶プロジェクター「VPL-VW100」との組み合わせでチェックしてみた。
このうちUnderworld:Evolutionに関しては、かなりの高画質で収められており、平均18〜19Mbps、最大30MbpsのMPEG-2で良好な画質が得られることがわかった。Fifth Elementについても、マスターの品質にこそ疑問符は付くものの、圧縮に関してはさほど悪くない。
しかし改めてマスター映像そのものの質に関してバラツキを大きく感じるとともに、VAIOに付属する再生ソフト「WinDVD BD」の再生品質にも問題が浮上してきた。ただし、WinDVD BDに関しては、今後、遠くない時期に修正パッチが提供されるようだ。
今回取り上げる2作品+Hitchを含む、BD初期ソフトの出荷全7作品に関して視聴する機会があったが、このうちUnderworld:Evolutionがもっとも高画質だった。圧縮品質以前に、マスターそのものの品質がかなり高いようだ。
ケイト・ベッキンセールが演じる美貌の吸血鬼と人狼族との抗争を描いたUnderworldの続編であるUnderworld:Evolutionは、前作に引き続きアクションが連続するハリウッドらしい娯楽作品。その映像は太陽の光に弱い吸血鬼が主人公だけに、全体を通して暗いシーンが多いのが特徴だ。前作に比べると、暗い中にも顔の輝度が高めに取られて見やすいが、前作などは黒い紙の中に黒い絵の具で描くような、すさまじいまでの暗い世界だった。
こうした作品のため、画面中で(おそらくは元のマスターから)黒潰れしているところが多く、比較的圧縮はしやすいと思われる。くわえて本作品はオリジナルネガを1コマずつスキャンしてデータベースに収め、以降の編集をデジタル処理で行うDI(デジタルインターミディエイト)で行われているため、フィルム粒子(グレイン)が少なめでゴミがなく、非常クリアな映像であることが圧縮歪みを抑えることができた原因だろう。
途中で何カ所か出てくる、葉の落ちた林が高速パンするシーンなどでは、枝まわりの描写がざわつく、あるいは一部背景のテクスチャが崩れるといったところなど、歪みを発見しようと努力しながら見れば見つかる。が、登場人物など主被写体部分の破綻が出ないようチューニングされているのか、全体を通しての印象はとてもいい。くわえて圧縮前のフィルタリングでノイズを除去している形跡がなく、細かいディテールや質感の描き分けも見事だ。
HD DVDソフトのLast Samuraiやオペラ座の怪人の画質を85点とするなら、Hitchは50点、Underworld:Evolutionは90点ぐらいだろうか。ちなみにユニバーサルが発売しているHD DVDソフトのうち「U-571」は、95点を付けたいほどの高画質。とはいえ、SPEとしての第1弾ソフトと考えれば上々のデキだろう。
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