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磁力でCCDを動かす手ブレ補正――「K100D」の開発者に聞く永山昌克インタビュー連載(4/4 ページ)

» 2006年07月18日 14時21分 公開
[永山昌克,ITmedia]
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製品名に込めた「K100D」の狙い

――要素開発に関連してうかがいます。他社ではライブビュー機能やゴミ除去機能を搭載したデジタル一眼レフ機が登場していますが、御社としての対応はいかがですか?

畳家氏: ライブビューは技術検討すべき要素としては考えていますが、どういう製品をどういう形でできるかは、お伝えできるレベルではありません。ゴミ除去については、レンズ交換ができるデジタル一眼レフ機で何らかのゴミ対策が欠かせない、という意見はもっともだと思います。ニーズは確かにありますので、今後どんな方策で実現できるかを検討していきたいと思います。

 K100Dについては、ゴミ除去は従来製品と同じ対応です。当社の修理センターに持ち込むか、メニューからCCDクリーニングを選び、ミラーとシャッターを上げた状態でブロアーで清掃していただくことになります。

――デジタル用のパンケーキレンズ第2弾「DA 21mmF3.2AL Limited」を先日発売するなど、御社は単焦点レンズの開発にも力を注いでいますね。他社では単焦点レンズは売れないという声も聞きますが、あえてほかとは違った路線を狙っているのですか?

畳家氏: 特に意識的に単焦点レンズを出しているというよりは、全体のラインアップとしてズームレンズも揃えた上で、単焦点レンズも軽視していないということです。当社の長いカメラの開発の歴史の中では、ある意味、当たり前のことをしているつもりです。

photo 6月に発売した広角単焦点のパンケーキレンズ「DA 21mmF3.2AL Limited」を装着

畳家氏: デジタルの時代になってからは、カメラもレンズもスペックばかりを追求する傾向を感じます。今はデジタルの成長期なので、スペックがどんどん進化するのは当然です。しかし、使う人が本当に必要なものは何かを考えると、大切なのはデジタルデータうんぬんではなく、結果として“いい写真”を得られるかどうかです。フィルムからデジタルに置き換わっても、歴史を記録したり、思い出を写真に残したいという願いや文化は不変です。

 メーカーとして、いい写真を追求するなら、ズームの利便性だけでなく単焦点レンズの写りのよさ、単焦点レンズで写真を撮る楽しさを忘れてはならないと思います。昨年発売した単焦点レンズのひとつ「DA 40mmF2.8 Limited」は市場で好評です。魅力的なレンズを作れば、ズームでも単焦点でも売れないことはないと考えます。

 当社のレンズでは、解像本数やMTFチャートのパーセンテージだけを追うのでなく、あらゆるシーンを撮影し、立体感の表現など実写の見え方にポイントを置き、設計から生産までを行っています。また、レンズは一生使えるものですから、所有する喜びを持てる外観に仕上げることも重要です。

――「K100D」のKは「Kマウント」の意味だと聞きましたが、そもそもKの由来は何ですか?

畳家氏: KマウントのKの由来は、当社として正式に定めているわけではありません。Kの名称を最初に使ったのは1958年の「アサヒペンタックスK」です。当時のスクリューマウントの一眼レフ機の最高機種という位置付けで、そのKは「King of SLR」のKでした。

 そして1970年代にはマウントをバヨネット式に変更し、初めてKマウントの一眼レフ機として「K2」、「KX」、「KM」のKシリーズ3機種を発売しました。カメラがKシリーズなのでマウント名をKにしたのか、Kマウントだからカメラ名をKにしたかのは、今では明確には分かりません。

 ただはっきりしているのは、スクリューマウントの最高機種を発売した時や、会社としては大きな決断であるマウントを変更した時など、時代のターニングポイントになる節目にKの文字を使ってきたことです。今回の製品名にKを冠したことに、我々の思いや意気込みを感じ取っていただけるとありがたいですね。

 また、一眼レフ機はそもそもレンズ交換というシステム性を楽しめるカメラです。K100Dの製品名からKマウントをイメージしてもらい、システムとしての広がりをいっそう認識して欲しいという願いも込めています。

photo K100Dの満足度にあえて点数を付ければとの質問には90点と答えた。従来機での細かい不満点も改善でき、完成度の高い製品に仕上がったという
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