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「つくばエクスプレス」が“ホット”な理由(1/2 ページ)

» 2006年07月26日 02時26分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 「つくばエクスプレス」の開業から、ちょうど一周年にあたる8月24日、いよいよ“列車内無線LAN”の商用サービスが始まることになった。時速130キロに達する列車の中で、普段と同じホットスポットが利用できるという、よく考えると画期的なサービスだ。7月25日に行われた報道関係者向けの体験会に参加して詳細を聞いてきた。

photophoto 「つくばエクスプレス」車内デモンストレーションに集まった報道関係者。注目度の高さが伺える

 商用サービスの概要は別記事を参照してほしいが、当初はNTTドコモの「Mzone」およびFOMAのオプションである「mopera U*」で接続可能になる。年内をメドにNTT東日本の「フレッツ・スポット」も加わる予定だ。

photo 6両のうち3両目と4両目にはクロスシートが設けられている。ただしテーブルが付いているのは通路側のみ

 また、車両は2000系(快速、区間快速など『つくば』駅まで運行する車両)に限られるものの、秋葉原ーつくばの各駅および全線で無線LANを利用できることになった。しかも、駅から電車に乗り込んでも接続が途切れることはないシームレスな運用性を実現。逆も同様で、電車から降りたあと、乗り換え時間までホームで仕事の続きをしたいといった場合でも再接続や設定変更はいらない。

 列車内で利用できるのは、一般的なIEEE 802.11b/gだ。2000系の場合、各車両にもれなくアクセスアクセスポイントが設けられており、よほど混雑しない限り、電波の届かないことはない。実効速度は1.4M〜1.5Mbps(端末数が限られる状態で計測した結果)。試しにITmediaのTopページを開いてもらったが、表示速度は「ちょっと遅いホットスポット」か、「黎明期のADSL」といった印象。回線を共用するため、同時にインターネットを利用する人が多いと遅くなる可能性は高いが、Webブラウズやメールなら十分に“使える”速度だ。

photophoto 当然だけど、ITmediaもちゃんと読める。Mzoneユーザーの方は是非チェックしてください

 実際、最高時速130キロの電車でMbps単位のスピードが出るというのは、今までにないサービスだ。列車からのインターネット接続実験は過去にも例があるものの、「多くの場合、中継局と列車の間にPHSなど伝送距離の長いインフラを使用しており、スループットは出ていなかった」(NTT-BP)のが実情。異なるのは「今回は列車と駅の間でも無線LANを使用している」点だろう。

 インフラについて補足しておくと、まず「つくばエクスプレス」沿線の全20駅には光ファイバーが引き込まれ、駅構内をホットスポット化している。同時に、ホームの両端に指向性の強いアンテナと無線LAN設備を設置し、通過する列車からのインターネット接続を可能にした。

 もちろん、駅だけでは沿線をすべてカバーすることはできないため、線路に沿って平均500メートルおきに中継局を設置。駅のホーム端に設けられた38局と中継局27局を合わせ、計65局で総延長58KmのTX全線をカバーする。

photo 平均500メートルおきに中継局を設置、その間を25GHz帯のWIPAS(Wireless IP Access System)でアクセスリンクを構築
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