薄型軽量で、さらに光学式手ブレ補正に高感度撮影と、コンパクトデジタルカメラとして完成度の高いスペックを誇っていたソニーの“サイバーショット”「DSC-T9」に後継機が登場した。
今回登場した「DSC-T10」は、人気のT9の特徴をブラッシュアップしたモデルだ。大がかりなバージョンアップはないが、必要な機能はほとんど備えたと言えるほど充実した機能はそのままに、さらに使い勝手を高めたのがT10だ。
新製品となるT10は、外観についてはT9とほとんど変わらない。本体前面の半分を覆うレンズカバーを下にスライドさせるデザインを継承。全体のデザインもほとんど変化がない。大きな違いとしては、レンズカバーの下の細いデザインアクセントがなくなり、正面向かって左側にふくらみを持たせ、材質を変えることでデザインが変更されている。
全体的なスタイルは従来通りのフラットな薄型コンパクトで、過剰な演出のないデザインではあるが、誰にでも、どんなシーンにでもオススメできる落ち着いたスタイルと高級感はキープされている。
レンズカバーは向かって左側のデザインアクセント部分もやはりツルツルと滑る感じなので、落とさないように注意したい。レンズカバーの作りは良く、開閉時の感触は良好。開閉には引っかかりがあるため、カバンやポケットの中での誤開閉は少なさそうだが、滑って落とす危険はある。
このあたりの注意は必要だが、それさえ気をつければ、あとは快適な撮影ができる。従来通りレンズカバーは電源と連動しているので、カバーを開けば電源オン、閉じれば電源オフと分かりやすく、起動も約1.3秒(公称)と速い。
レンズが沈胴式ではなく、前方にせり出さない点も使いやすさに寄与していて、起動の速さはもとより、電源オフ時に、レンズが収納されるのを待たずにすむので、サッとカバーを閉じるだけでいい。これは分かりやすく使いやすい。
こうした使い勝手の良さは、ポケットから取り出してすぐに撮影、すぐに電源をオフにしてポケットに戻す――そんなスナップカメラの命とも言うべき部分。この点でT10はスナップカメラとして優秀だ。慣れると取り出してからレンズカバーを開けて構えるまで滑らかに動作できる。
デザイン面の変更が少ないと前述したが、レンズカバーにふくらみを持たせているのは、実は大きな変更点かもしれない。T9は、上から見ると厚みが微妙に変化しており、右手で持つ側が細く、左手側が太くなっていた。今回、レンズカバーの厚みが変化したことで、右手側にも一定の太さが加わっているのだ。これは、カバーの材質が変化するあたりにへこみを設け、指を引っかけて構えやすくするための配慮だと思われるが、ちょうどいい感じで「気の利いた配慮」と言える部分だ。
また、T9では樹脂製だったモード切り替えスイッチが、ボディのステンレスと違和感のない素材に変更になった点も触れておきたい。これまでは、全体の高品質に対してちょっと不釣り合いな印象もあったスイッチだが、これで全体のマッチングがとれ、ほとんど不満の感じられないデザインになった。
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