レンズは従来通り屈曲光学レンズを採用。最大の特徴ともいえる光学式手ブレ補正も健在だ。コニカミノルタが撤退した今、「スタイリッシュコンパクト」と呼ばれるジャンルで光学式の手ブレ補正を採用しているカメラはもはやコレと松下電器産業の「LUMIX」シリーズ、キヤノンの「IXY DIGITAL 800 IS」ぐらいだろうか。
その中でも最薄部で20ミリを切る薄型サイズを実現している点は相変わらず見事。屈曲光学系を採用したメリットだろうが、他社にはない大きなアドバンテージと言える。ジーンズのポケットにも、ワイシャツの胸ポケットにも違和感なく収まる。
レンズはT9と同じくカール ツァイス「バリオ・テッサー」を搭載。レンズ構成は非球面レンズ3枚、プリズム1枚を含む9群11枚構成で、焦点距離は35ミリ判換算で38〜114ミリの3倍ズームという点も変わらない。個人的には、のっそりという感じのゆっくりなズーミングが気になった点。T9もそうだったが、もう少し高速なズーミングができれば良かった。
こうしたコンパクトデジカメは、もう少し広角寄りの撮影ができたほうがいいように思うのだが、T10でもレンズは変えてこなかったようだ。レンズのF値はF3.5〜F4.3。撮影できる範囲は通常で50センチ〜∞、マクロでワイド端は約8センチ、テレ端では約25センチまで寄れる。拡大鏡モードを使えば1センチまで接近できる。
スナップカメラとして考えると、レンズの描写はまずまず。中心部はシャープで解像感があり、周辺は解像感が落ちるが、このクラスではそれほど問題のあるレベルではなく、おおむね納得できる印象だ。
変更点としては撮像素子の変更がある。これまで1/2.5インチ有効600万画素CCDを搭載していたが、CCDサイズは変わらず画素数を有効720万画素に高画素化。スペック的には4月発表の「DSC-T30」と同等になったわけだ。単純な高画素化には疑問も感じるが、この流れはまだ続きそうだ。
さて、CCDの変更にともない、高感度対応も強化されている。T9ではISO640までの対応だったが、T10ではT30と同様にISO1000の高感度撮影が可能になっており、より暗所に強くなっている。
もっとも、ISO1000のノイズレベルはかなりのものだ。色ノイズも多いのだが、どちらかというと色ノイズは残しても写真の色を維持する方向を狙っている感じで、Webにアップする程度だったら、色味がきちんと残っていて好感触かもしれない。
あまり過度な期待は禁物だが、被写体ブレと手ブレを抑えつつフラッシュが使えないシーンでは活用できそうだ。
手ブレに関しては、光学式の手ブレ補正も十分有効だ。公称ではシャッタースピード3段分の効果があるとされているが、ワイド端でシャッタースピード1/6秒でもブレないカットもあり、なかなか強力だ。
「高感度」の画質は、撮像素子から高感度対応を図った富士写真フイルムがいまだに他の追随を許さないが、手ブレ補正と組み合わせられる点はT10のアドバンテージだ。T10の手ブレ補正はメニュー内から「撮影時のみ補正」と「常時補正」が選べ、手ブレ補正のオン/オフ自体は上部のボタンを押すことでトグル動作する。
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