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第55回 記録と観察の関係今日から始めるデジカメ撮影術(1/3 ページ)

» 2006年08月24日 11時00分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

 写真の役割にはいろいろあるけれども、その中で大きな位置を占めるのが「記録」。なんてことない写真でも記録しておけば新しいことが発見できたり、何年もあとで懐かしがったりすることもある。今回はそんな「観察・記録」系の話を。

定点観測で世の中の移り変わりを記録する

 デジカメ時代になって便利になったのはなんといっても「記録」。フィルムだと「もったいない」と思って撮らなかったものも撮れるし、写真を全部パソコンのハードディスクに入れておけば何年もたってから現在と見比べることもできる。

 ただ、「記録」といっても幅が広すぎる。子供の成長記録も自分が作った食べ物の記録も愛車の写真も記録といえば記録。買った服やコレクションを記録して写真に残しておけばあとでデータベースのように扱える。

 今回はもうちょっと趣向を変えた記録をあれこれ残してみよう。

 まずは「定点観測」。文字通り、同じ場所をずっと撮り続けること。いつも行く公園の四季の移り変わりでもいいし、好きな場所を何年もとり続けるのもいい。新宿西口の移り変わりを何十年も撮り続けた写真集が最近話題になっているが、そこまできれいに激変を記録しなくても、いつも行く公園の風景でも、毎日歩く道でも、何気なく同じ場所から気が付いたときに撮り続けるだけで、いろんな変化を記録できる。

 見慣れた場所も季節によって、年代によって変化しているのが分かるはずだ。

これは冬。ちょっと特殊な撮影をしてるので180度パノラマになっているが、雪の日の蘆花公園である
これは3月。菜の花が一面に咲いているがまだ木に新芽は出てない
これは4月中旬。木々は緑になり、お花畑はチューリップに
これは7月の終わり。快晴の空に元気な植物

 こんな感じで季節によって雰囲気が全然違う。

 次は建造物の変化だ。

1998年に撮影した、神田の同和病院。もともとは同和病院の建物があまりに古くてカッコよかったので撮影したもの。右下の「六文そば」に注目
これはほとんど同じ場所から1999年に撮影したもの。いつのまにか病院が取り壊されていたのだ。ちょっとショックでありました
そして2004年。当時の面影を残すのは右側に小さく移ってる「六文そば」の黄色い看板だけというくらいである

 こうして並べてみるとほんの6年ほどの間なのにすごく歴史を感じる。定点観測の面白さのひとつ。こういう目立つ建物じゃなくても、近所のちょっとした風景でも残していくことであとから変化を楽しめるのだ。

 できるだけ広角で、広い範囲が写るように撮り続けるのが楽しい。

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