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れこめんどDVD「心霊写真奇譚」DVDレビュー(1/2 ページ)

» 2006年08月25日 00時00分 公開
[サトウツヨシ,ITmedia]

「心霊写真奇譚」

発売日:2006年7月28日
価格:3990円
販売元:フォーサイド・ドット・コム
上映時間:92分(本編)
製作年度:2006年
画面サイズ:ビスタサイズ・スクイーズ
音声(1):ドルビーデジタル/ステレオ/日本語

 映画「リング」3部作('98〜'00)のヒットから、ハリウッド・リメイクを経てエンターテインメントとしてすっかり定着した感じの和製ホラー。また「呪怨」にいたっては、オリジナル・ビデオから映画へ、そして監督ごとハリウッドへ渡ってリメイク、そんでもって「呪怨/JUON」('04)が全米興行成績1位をとった日には、それは驚きましたよね。

 でも忘れちゃいけないのが’80年代の「2時のワイドショー」における心霊写真特集、そしてオムニバスホラーの隠れた名作、オリジナル・ビデオ「ほんとにあった怖い話」シリーズ('91〜'92)の存在。 

 そんな心意気を今に伝える新作オリジナル・ビデオ「心霊写真奇譚」について、「アイドルものとしてどうか」「新鋭監督ものとしてどうか」の2点を中心にテキトーに述べたいと思います。

和製ホラーの醍醐味。それはアイドル「エロ怖」期待論

 ちょっと世の中に迎合して「エロ○○」ってワードを使ってしまいました。すみません。本作、まったくエロくはないのですが、各話で轟くヒロインの悲鳴「キャー」とか「ハッ」として後ずさり、ナヨッと倒れる感じがその…って何を書いてるんだ私は、まあそんな感じでそこはかとなくエロチック。

 で、本作でまず注目の女のコは近野成美。元おはガール、週刊「ヤングジャンプ」制コレ03グランプリの彼女は、写真集やイメージDVDも多数。最近のイメージDVDでは制服フィギュア付きと、その筋の方々にはたまらないキャスティングでございましょう。

 「思いでのポラロイド」というエピソードで、明るい元気キャラの近野を敢えて活かした、なかなかワザありな演出でみせてくれていますが、そのあたりは後述します。

 本作は5話の独立したオムニバスからなり、それぞれにヒロインが立っています。ティーンズ系ヒロイン、キレイなお姉さん系ヒロインに大別でき、前者は近野、さらに2人のアイドルが出演。

 「被写体のない写真」で登場する仲村瑠璃亜はイエローキャブ所属。あどけない表情の中にもキリッとした一面をみせ、女優のタマゴとしての気合いも感じられます。本作では唯一、悲鳴を上げるだけでない、あっちに逝っちゃった人を演じ、そのとき人気のない冬山で白いワンピース丈のキャミソール。たぶん意味はないんだろうけど画的にOKです。ってホントどうかしてるよ。

 続きましてのアイドルは松山まみ。「見ている」という話で、これは制服・学園ものってことでサービス、サービス。

 一方、キレイなお姉さん系からは、グラビアクイーンな佇まいの三宅梢子が水泳のインストラクターとして競泳水着で現れます。「望遠男」というエピソードがそれで、セリフ回しはポワーンとした感じで「だから生霊なんかに付きまとわれるんだよッ」とツッ込みたくなります。

 トリはキャスター、リポーターなどもテレビでこなすという優木まおみが出演する「届けられたモノ」。好奇心に導かれるまま、自らダメな方向(霊がいるほう)に進む役どころはリポーター的でもあります。しかし、情報番組と違うのは「あるモノ」はリポーターの目線の先ではなく、背後にあるということなのですが…。

 なお各話のメイキング映像も収録されており、役者の素顔が少しだけ見られますので、ヒロイン目当ての人には朗報でございましょう。でも解説書は一切なしの、さっぱり仕様です。

誰のせい? それはアレだ夏のせい、いや演出の妙

 先日、フジテレビ系で放映された夏の定番「ほんとにあった怖い話」を演出した、和製ホラー界の隠し球(失礼)・鶴田法男監督にお話をうかがう機会がありまして。

 「怖さの根源とは、子供のころ夜中のトイレに行きたくないとか、和室の天井の木目が妙にイヤな感じとかにあるんです」と。

 鶴田監督による「ほんとにあった怖い話 完全版」収録の「霊のうごめく家」('92)は、「呪怨」清水崇監督、「回路」黒沢清監督に影響を与えた作品として、語り草にするファンも多かったりします。

 ホラーに情緒を注入する演出で、清水崇、黒沢清、鶴田法男のフォロワーは果たして本作に現れたのでしょうか――。

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