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海辺や雨天でも気軽に動画撮影――「DMX-CA6」の担当者に聞く(2/3 ページ)

» 2006年08月25日 10時52分 公開
[永山昌克,ITmedia]

――撮った動画の楽しみ方としては、テレビにつないで見るよりもPCで再生することを重視しているのでしょうか?

奥氏: DVカメラなど従来型のムービーカメラは、どちらかといえばテレビに近く、静止画中心の一般的なデジカメはパソコンに近い商品といえます。Xactiはその中間の存在、テレビにもPCにも近い製品を狙っています。テレビにはAVコード1本で接続でき、PCにはUSBケーブルまたはSDカード経由で素早く連携できます。

Webの進化でXactiのステージが広がる

――縦型Xactiの一号機「DMX-C1」を発売した2003年から現在まで、動画に対するユーザーの意識や環境にどんな変化がありましたか?

奥氏: ご存知のように、国内のインターネットの利用人口は8500万人を超え、そのうちブロードバンド使用の割合もますます広がっています。Webは従来のテキストベースのものから、静止画や動画を利用したものに進化し、われわれが意識してきた環境がいよいよ整ってきたと感じています。

 具体的には、動画を投稿・共有できるサイトやブログ、ソーシャルネットワーキングサービスなどが急速に拡大しています。ブログといえば、メディアに携わる人にとってはかなり前から当たり前の存在でしたが、一般の人にまで普及し始めたのは、ここ1年くらいのことです。

 例えば「アメーバビジョン」や「ワッチミー!TV」などの動画の投稿・共有サイトを見ていると、利用ユーザーのスキルが徐々に上がっていることを実感します。ほとんどの人は、最初は撮った動画をそのままアップするだけでしょう。しかし慣れるにしたがって、タイトル合成などのちょっとした動画編集を加える人が増えているようです。

 さまざまなムービーカメラの中でも特にPCとの親和性の高いXactiは、こうした動画を扱うウェブ用途に、まさしくフィットするツールといえます。ますます面白いコンテンツを作っていただきたいと期待しています。

――PCへの取り込みが手軽で、動画編集に向いているのは確かです。ただ動画編集のしやすさをアピールするならなら、編集ソフトを付属して欲しかったと感じますが。

奥氏: ロイヤルティーとコストの兼ね合いで、本格的な動画編集ソフトは付属しません。ただし、動画管理ソフト、DVDライティングソフト、パノラマ合成や手ブレ補正ができるオリジナルソフトなどが付属します。個人的には、タイトル合成などには市販のソフトを利用しますが、簡単な動画編集はカメラ内で行っています。前半や後半部分のカットやつなぎ合わせなど簡易編集をカメラ内で手軽に行えることがXactiのポイントのひとつです。

――DMX-CA6は、防水以外の部分は昨年発売の「DMX-C6」から多くを受け継いでいますね。また9月には、ハイビジョン対応の上位機「DMX-HD1A」が登場します。これら3機種それぞれの想定する使い方、ユーザーターゲットを教えてください。

~世界初の生活防水ムービーの実現

奥氏: 今回のDMX-CA6は、ヤングファミリー層を中心とした20代後半から40代までのユーザーを主に想定しています。生活防水を生かし屋外でアクティブに動画を楽しみたい。そんなニーズに応える製品です。昨年発売した薄型機DMX-C6は、DMX-CA6と併売します。こちらは、モノにこだわりを持つ30代から40代の年齢層の方々がメインターゲットです。都会でオシャレに使うイメージで、エレガント志向の製品といえます。

奥氏が持っているのは内部をチェックするために作られたDMX-CA6のスケルトンモデル。これは非売品。なお、この人物写真はDMX-CA6の静止画機能で撮影した

 一方、ハイビジョン対応の新モデル「DMX-HD1A」は、イノベーターやアーリーアダプターと呼ばれる先進ユーザー層を主に想定しています。子どもを持つファミリーや、夫婦で旅行する人たちの中でも、とにかく画質をきれいに残したいと考える人に最適です。

世界初の生活防水ムービーの実現

――DMX-CA6の開発はどんなきっかけで始まったのですか?

奥氏: これまでにも防水のデジカメはありましたが、標準で防水に対応したムービーカメラは見たことがありません。防水ができれば、動画の撮影領域がさらに広がるはずです。そんな思いからDMX-CA6の商品企画が立ち上りました。またメカレスのXactiが防水を実現すれば、テープやディスクなどを使う他のムービーカメラに対する決定的な差別化になるという狙いもありました。メカがあると、どうしても防水を実現するハードルは高くなりますから。

 そして企画に平行して、これまでの製品のユーザーから改善要望点のアンケートを集めました。電池寿命、長時間撮影、画質の向上という要望に次いで4番目に多かったのが防水・防滴機能です。5番目の高倍率ズーム化や6番目の低価格化以上に、防水への要望が多かったのは、私自身ちょっと意外に感じました。調査結果をより詳しく見てみると、海辺やスキー場などでも使用し、撮影の幅を広げたいという声や、防水デジカメがあるのに、どうして防水ムービーがないのか、という声が数多く寄せられていました。

発売が8月下旬といのうが惜しいが、海辺やプールサイドだけでなく、スキー場でも防水機能が重宝する。詳細レビューは後日掲載する予定だ

――生活防水はどうやって実現できたのでしょうか?

奥氏: Xactiはそもそも薄型コンパクトで、液晶モニタはフラップになっていて、おまけに可動します。このサイズとこのスタイルを維持したまま防水を実現するのは予想以上に困難でした。しかし、マーケティングの立場としては、手のひらに収まるコンパクトボディは絶対に譲れません。結果としては、個人的に当初イメージしたサイズよりもわずかに厚くなったとはいえ、よくぞここまで小型軽量化できたと満足しています。

 技術的なポイントは、各所にシールド処理を施した上で、“ひずみ”が生じにくいボディの形状にしたことです。少しでもひずみがあると、そこに隙間が生じ、水が入ってしまいます。できるだけひずみにくい形状にすること、ひずみにくい場所にビスを打つこと、万が一ひずんでも水が入らないようにすること。三次元の設計システムを使い、さまざまな荷重のシミュレーションを試みました。

 可動液晶のヒンジ部については防水化が難しいと当初思っていましたが、実はヒンジ部そのものは濡れても問題はなく、むしろヒンジの両側をきっちりとシールドすることが重要でした。このことも含め、経験を積まなければできないノウハウの部分が非常に大きいといえます。

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