先週、東芝が発表した液晶テレビ「REGZA」には、4th mediaのIP VoD機能が標準搭載されている。従来モデルにも同様の機能はあったが、今回の目玉はハイビジョン対応。4th mediaはREGZA 2000シリーズの発売に合わせ、30〜40タイトルのHDコンテンツを用意するという。4th mediaを運営するぷららネットワークスの中岡氏に詳しい話を聞いた。
――まず、ハイビジョンVoDの仕様を教えて下さい
デジタル放送と同じMPEG-2を使います。ビットレートは15Mbps前後で、解像度はもちろん1080i。AAC 5.1chのサラウンドにも対応します。画質としては、「地上デジタル放送を目指した」というイメージですね。
――15Mbpsとなると、視聴できる環境(回線)は限られてしまいそうです
4th mediaは「Bフレッツ」ユーザーが中心なので、帯域幅についてはあまり心配していません(注:4th mediaは会員の約9割がBフレッツユーザー)。ただ、マンションタイプなど回線を複数の世帯で共有するタイプでは、使用状況によって見られない可能性はあります。
――(より高圧縮の)H.264などは検討しなかったのですか?
現状では考えていません。理由は、ハイビジョンコンテンツのデコードにテレビ内蔵の地上デジタル放送用デコーダーを利用するからです。
――ハイビジョンコンテンツを見られるのは、REGZA 2000シリーズユーザーだけですか?
そうです。REGZA 2000シリーズから4th mediaに接続した場合のみ、「スペシャル」メニューにハイビジョンコンテンツの項目が表示されます。エージェント情報(ブラウザ名など)で端末を判別しますので、STBからアクセスした場合は、ハイビジョンコンテンツのメニューは見ることができません。
――REGZA以外のテレビ、あるいは家電製品にSTB機能を組み込む予定はありますか?
テレビはしばらくないと思います。われわれは端末に対して、オープンなスタンスですので、通信機器メーカーや家電メーカーが(4th media対応機能を)付けたいといえば、もちろん技術を開示します。
ただし、STBのハイビジョン対応は当面は考えていません。STBには、どんなテレビが接続されているのか分かりませんから。映像のハイビジョン化は、表示パネルと一体で展開するのが望ましいと考えています。
――今後の展開を教えて下さい。タイトル数の目標などはありますか?
サービス開始当初は、映画を中心に30〜40タイトルを揃える予定です。今後は新作映画を中心とした展開になるでしょう。ただ、本格展開は少し先になるかもしれません。というのも、ハリウッドのメジャー映画スタジオは今、大きなイベントを控えていますから。
つまり、HD DVDやBlu-rayといったハイビジョンのROM(パッケージメディア)ですが、当面はそちらに労力を裂かれることになるでしょう。VoDのハイビジョン化が加速するのは、ROMのほうが一段落してからになると思います。
また、地上デジタル放送のIP再送信に関する規格策定など、環境が整備されるのは2008年頃になると見られています(関連記事)。パッケージメディアもVoDも、そして放送も今は過渡期です。環境整備といった点も含め、ハイビジョンのIP多ch放送やVoDが本格的に動き出すのは、2008年頃になるのではないでしょうか。
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