ITmedia NEWS >

「静かなリスニング環境」を求めて――ボーズ「QuietComfort 3」レビュー(2/3 ページ)

» 2006年09月05日 14時21分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 バッテリーでの駆動時間は約20時間。QC2の35時間に比べると短いが、小型軽量化の代償と思うしかない。スペアバッテリーも販売される予定なので、長時間のフライトを伴う旅行などの際にはスペアバッテリーを購入しておくと良いだろう。QC2では左ハウジングに差し込むコードに入力レベル切り替え用のスイッチが設けられていたが、QC3では省かれている。

photophoto QC3で新採用された小型バッテリー(左)、入力プラグ(右)

 高い質感をもつキャリングケースは今回も付属する。ケーブルやバッテリー用充電器、飛行機座席によくみられるふたまたのジャックに対応するプラグなど各種アクセサリーをスマートに収納できる。ヘッドフォン本体が小さくなったため、ケースもQC3に付属するものと比べて一回り小さくなっている。

photophoto

QC2を上回るノイズキャンセリング能力

 次にノイズキャンセリング機能を実際に試してみよう。

 まずは音楽を流さず、スイッチも入れず室内でQC2/QC3を耳に当ててみた。確かにQC3もフィット感の高いイヤーパッドが装着されているせいか、エアコンの動作音などはかなりカットできている。地下鉄の車両内でも同様だ。しかし、交互に装着してみると、明らかにQC2のほうが遮断される音の情報量が多い(より静か)ことに気が付く。ヘッドフォン単体での遮音性能だけでいえば、やはり密閉型のQC2に分があるようだ。

photophoto QC2(左)とQC3(右)の装着例

 次にノイズキャンセリングのスイッチをオン。両製品とも静かな室内では「サーッ」というノイズキャンセリングの動作音こそ聞こえるが、周囲の音は相当カットされる。地下鉄構内の風切り音や室内のエアコン動作音、さまざまな音が消えてなくなる。

 実は本製品を試用する前、航空機内を模した環境でQC3のノイズキャンセリング能力を体験する機会があったので、QC3の能力は知っていたつもりだった。しかし、日常生活の中でもこれほどまでに静寂をもたらしてくれるとは想像できなかった。

photo 同社のプレゼンテーション資料より。QC2/3は同等のノイズキャンセリング能力を有しているが、QC3はその多くをアクティブ・ノイズキャンセリングによっている

 両製品ともハウジングに設けられているマイクで周囲の音を拾い、それに相反する音の波形を作り出し、ノイズを打ち消す仕組み「アクティブ・ノイズキャンセリング」であることは変わらない。しかし、形状の変更に伴い、QC2では適用されていなかった中高音域にもアクティブ・ノイズキャンセリングが適用されている。

 同じ環境下で双方を聞き比べてみるとその違いはハッキリわかる。エアコンの動作音や地下鉄構内で風が唸る音、電車のモーターがうなる音といった比較的低い音へのキャンセル能力については甲乙つけがたいが、電車停車時の金切り音や構内アナウンス、電話の呼び出し音といった中高音へのキャンセル能力はQC3の方が上だ。

 極論を言ってしまえば、外音を100%遮断することができれば電気的なノイズキャンセリング機能は不要となる。QC2は密閉型とすることで遮音率を上げると同時に、電気的なノイズキャンセリング機能をプラスするアプローチだったが、QC3はオンイヤー式とすることで低下した遮音率を電気的なノイズキャンセリング機能の適用範囲を広げることでカバーしている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.