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コラム
» 2006年09月20日 06時21分 公開

小寺信良:「プロブロガー」は成立するか (3/3)

[小寺信良,ITmedia]
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「プロブロガー」の実現

 厳密には新しい広告モデルとは言えないが、現在注目している表現手法がある。2ちゃんねるまとめサイトの1つである「痛いニュース」では、実働するアフェリエイト広告を表現ツールとして使うことで、全体で1つのコンテンツを形成している。

 すなわち、スレッドのタイトルに対する2ちゃんねらーの反応の最後に、テーマと関連しながら意外性のある商品、あるいは商品名を持ってくることで、時にパロディであったり、痛烈な皮肉であったりするわけである。これはどんな広告をそこにあてがうかが1つの表現であり、広告を使って管理者の意思を表すことが可能であることを示している。

 以前まとめサイトにおけるアフェリエイトは、2ちゃんねるの労力を使って金銭を得ているとして、反発されたことがある。この心情は理解するところであるが、純粋に表現手法という視点で見た場合には、「借り物」+「借り物」で別のコンテンツを形成していることがわかる。場合によっては広告主にとって心外な扱いであるのかもしれないが、それが商品のインパクトをより強調するものであれば、広告を超えたある種の「メタ広告」として機能する。

 この事実は、これまでの広告分離の原則とはまったく逆のベクトルで、しかも従来タイプのアフェリエイトではなく、広告モデルが成立する可能性を示唆している。ネガティブな内容のコンテンツをいっぺんにひっくり返して、別方向のシナジーへ転換してみせるわけである。

 このような手法の元々の発想は、広告分離の原則における奇妙なシンクロニシティの存在を、面白く思ったところが出発点だったのかもしれない。以前筆者のブログでも、ホワイトバンドの問題点を指摘したエントリーに、ホワイトバンドのアドセンスが付くといった、実にエスプリの効いた現象が起こった。「痛いニュース」における手法は、これのもっとひねったものを手動で持ってくると言う、これまた別の才能が必要な話である。

 ただこの手法も、読者が喜んでそれを見る、あるいは買うといったところまで牽引するには、さらに頭をひねった「組み合わせの妙」が必要になるだろう。それはある意味、ゼロからクリエイトするよりも難しい作業かもしれない。

 パーソナルなジャーナリズムツールとしてブログが成立することは、すでに国内外で証明されていることである。だがそこになんらかの広告モデルを適用して収支が合うようになるには、単に取材して文章が書ける以外の才能が必要となるようだ。

 まだブログなるシステムが存在しない、いわゆる「ホームページ」だった時代ならともかく、現在においては「プロブロガー」への道は、極めて険しいと言わざるを得ない。おそらく文章を書いて収益を得たいのならば、商業誌のライターになった方が早いし確実だ。あるいはもっとも近いプロブロガーへの道は、タレントブログのゴーストブロガーになることなのかもしれない。

小寺信良氏は映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。

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