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「CD以上の高音質」は実現するか――「Creative Xmod」レビュー(2/2 ページ)

» 2006年11月15日 03時21分 公開
[ITmedia]
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 セットアップは非常に簡単。ソースとなる機器にUSBまたは3.5ミリステレオピンジャックで接続し、アウトプット側にヘッドフォンまたはスピーカーをセットするだけだ。ちなみに、USBと3.5ミリステレオピンジャックではUSBからの入力が優先されるので、「PCで給電しながらポータブルオーディオプレーヤーから音を出す」といった使い方はできない。

photophoto 3.5ミリステレオ/USBの入力インタフェースが用意される上側面(左)、ヘッドフォン/スピーカー出力が用意されている下側面(右)

 まずはノートPCで試用。ノートPC(ThinkPad T42)にUSBで接続し、本製品付属のヘッドフォンを接続。MP3/128kbpsでiTunesに収録していたUnderWorldの「Juanita/Kiteless/To Dream of Love」を再生しながら補正をON/OFFしてみた(補正レベルはデフォルト値)。

 再生を開始すると補正OFFであるにもかかわらず、音質が変わっていることに気が付く。打ち込みドラムのはねる音やハイハットを刻む音のハリが良くなっているほか、ダイナミックレンジも拡大されているように感じられ、ヘッドフォンを交換したような印象を受ける。しかし、無音部分ではわずかながらもヒスノイズも感じられる。

 補正をONすると、さらに音質は変化する。中高域の押し出しが強くなると同時に、音の鮮明感が増す。中高域を押し出すといってもドンシャリになるわけではない。全体的なバランスにさほど変化は感じられないが、全体としては中高域(特に高域)の厚みが増したような印象だ。ONした瞬間は音量を大きくしたような錯覚すら受ける。

 MP3エンコードする際に最も失われるのは高音域なので、その分を補正するというアプローチは正しいが、やや補正しすぎかなとも感じる。ただ、違和感を受けるのは切り替えた瞬間のみで、数十秒もすれば自然な音として受け止められる。

 X-Fi CMSS-3Dによるサラウンド効果もかなりハッキリとした影響を与える。補正とサラウンドを双方オンにすると音の躍動感がかなり増すが、ここまでくると好みが分かれるといえるレベルだ。圧縮音源を補正するというよりも、音の迫力を増すエフェクターといった感じだが、個人的にはロックなど疾走感の必要なソースにはマッチすると思う。

 ビットレートの高い(補正量が少なくて済むはず)のファイルでは補正の聴き方も変わってくるだろうか。同じ曲でビットレートを160kbps/192kbpsと上げながら確認してみた。基準としたビットレートが128kbpsだったためか、高ビットレートにしてもそれほど明確な差異は感じられなかったが、192kbpsでも補正ONによる効果は感じられた。

 本末転倒という気もするが、CDプレーヤーにも接続してみた。MP3のファイルと同じ曲を再生しながら補正のON/OFFをしてみたが、やはり補正ON時には、高音を強調するという傾向が感じられた。ただ、MP3/128kbpsのファイルで確認した際よりも、「補正している」という感覚は薄くなっており、違和感はあまりない。

photo ACアダプターは別売

 今回は波形測定などを行わず、あくまでも筆者の聴感によるチェックとなったが、ソースに対して、高域のハリや伸び、拡大感などを付加するという効果は体感できた。

 製品のうたい文句である、「スタジオクオリティを超えるオーディオ体験」というレベルにあるかどうかをスタジオ勤務の経験がない筆者が判断することはできないが、圧縮音源が失ってしまう躍動感やディテールといったニュアンスを、多少ながらも補っていると言っていいのではないかと思う。少なくとも補正&サラウンドによる迫力アップはかなり楽しめる。

 やや大柄なサイズや外部電源が必要なことから、ポータブルオーディオプレーヤーと同時の持ち運ぶといった用途には適さないが、PCやゲーム機に接続する手軽なオーディオデバイスとしては楽しめそうだ。

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