次に注意すべきはピント。富士山の様に超遠くのものを撮るときはピントは無限遠にしちゃえばいいけれども、数メートルや数10メートルだとピントがすごく大事になる。レンズは望遠になればなるほど、ピントの合う範囲が狭い(被写界深度が浅い)からだ。
これはたまたま近くに現れたカイツブリという鳥。全長は図鑑によると26センチと結構小さい鳥だが、たまたま数メートルの距離に顔を出してくれたのでそれを500ミリで強引に撮影。もちろん三脚利用。
500ミリもの望遠で何を撮るかというと、思いつくところでは飛行機や鉄道、スポーツ、野鳥など野生動物といったところ。
わたしは鳥を撮るのが好きなので鳥の写真を何枚か。
こういう小さな鳥は常にこまめに動いてるので、感度を上げてでもシャッタースピードを速くすること。これはISO400に上げ、1/640秒(マイナス1の露出補正をかけてある)で撮影した。こういう小さくて用心深い鳥は三脚を立て、危害を加えたりはしないよというオーラを全身から出しながらじっと待つ。
超望遠の主な用途は、遠くの小さなものを撮る、あるいは超遠くのでかいものを撮るというものだが、超望遠ならではの「圧縮効果」を狙った迫力のある写真も撮れる。
遠くの巨大なガスタンクを500ミリで撮ってみた。望遠になるほど遠近感がなくなる(これを圧縮効果という)ので、全部が近くにあるように見える。だから手前の電柱も一緒に入れることで目の前に迫ってきたような迫力が出るわけだ。
重くて高いレンズだけれども、超望遠は面白い。
コンパクトデジカメだとマクロモードにすれば、すごいもので1センチ、普通でも10センチくらいは近寄れるので「マクロレンズ」といわれてもピンとこないかもしれないけど、一眼レフのレンズはそれに比べるとあまり近くに寄れないのが普通なので(最近はマクロ撮影もできるズームレンズも増えてきたけど)、接写専用のマクロレンズがあるのだ。
わざわざマクロ撮影用に紹介するなら、超強力なヤツを、ってことで、シグマの150ミリマクロ、「APO MACRO 150mm F2.8 EX DG HSM」を用意してみた。シグマ用のほか、キヤノン、ニコン、フォーサーズマウントが用意されている。
わざわざマクロレンズと名付けられたものはズームではなく単焦点が普通。近距離ででかく撮るのでその分高性能なレンズが求められるからだ。
150ミリという望遠系マクロは極端な例としても、ほかにも50ミリとか70ミリという焦点距離のものもある。
今回紹介する150ミリマクロの撮影最短距離は38センチ。
38センチって聞くとあまり近寄れないじゃん、と思うかもしれないが、コンパクトデジカメと一眼レフでは、撮影最短距離の測定方法が違うのだ。
コンパクトデジカメの撮影最短距離は「レンズ前から何センチ」という表記が一般的。その感覚だと38センチってすごく遠そうだ。
でも一眼レフの世界では(というかもともとの写真の世界では)、フィルム面からの距離を撮影最短距離といっている。デジタル一眼レフだと「撮像素子のある面」だ。ボディの後ろの方、厳密にいえば、写真のマークのあるところがそう。
レンズの全長が10センチくらいあるので、カメラの厚みを考えれば、レンズ前20センチくらいまで近寄れる。
ちなみに、レンズ前から被写体の距離は「ワーキングディスタンス」という。150ミリくらいの望遠だと、ワーキングディスタンスを確保しながらでかく撮れるのでマクロとしてはすごく優秀なのだ。
では撮ってみよう。
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