今年も数々のデジタルカメラが発売された。デジタル一眼レフカメラは相変わらずの人気で、新機種も多く発表され、市場も着実に拡大している。そうした中、“打ち止め”と言われ始めているのがコンパクトデジカメだ。
最近では光学ズームが搭載されたモデルが登場するなど、カメラ機能の本格化する携帯電話の手軽さに押され、また、デジタル一眼レフの低価格化にも押され、コンパクトデジカメはその立場が揺らぎ始めているのが現状だ。
今年、コンパクトデジカメは光学式手ブレ補正と高感度撮影が定番化したことで、使い勝手は飛躍的に向上した。ただ、それも一段落しつつあり、各社は新たな機能や要素を模索する必要に迫られている状況だ。今年の目立ったトピックを取りあげながら、その“次の一手”を想像してみたい。
コンパクトデジカメのひとつの流れとして注目したいのが「高級コンパクト」だ。まだデジタル一眼レフが高嶺の花だったころ、コンパクトタイプながらも、一眼レフ並みの大きさで多彩な機能を備えた(そして高額な)製品が多く販売されていた。
デジタル一眼レフの低価格化で停滞感の漂い始めたジャンルだが、それが再び注目されたのは、リコーの「GR DIGITAL」が登場してからだろう。GR DIGITAL自体は2005年10月の発売だが、その後もファームウェアのバージョンアップが継続して行われており、機能向上が計られている。
発売後1年以上がたつのに、平均価格が7万円弱(ITmedia shopping調べ)と発売当時からあまり下がっていないのも珍しい(発売時の実売想定価格は8万円前後だった)。
往年のカメラファンに人気のGRシリーズをデジタル化したGR DIGITALは、35ミリ判換算で28ミリという広角レンズを搭載。単焦点のレンズは画質も良く、全体の質感も含めて使っていて楽しいカメラだ。
オプションのコンバージョンレンズを装着すれば21ミリ相当という広角撮影も可能で、独特の表現が可能になる。こうした単焦点レンズ搭載のコンパクトデジカメは市場にはほとんどないので、得がたい1台といえる。
さらに絞り優先とマニュアル撮影モードを備えており、シャッタースピードと絞りをダイヤルで変えながら撮影できる。単純にフルオートで撮影するだけでなく、幅広いシーンでの撮影を可能にしてくれる。
このあたりの本格的な撮影機能はケータイカメラにはない部分で、ちょっと本格的な撮影をしたい、でも持ち歩きに苦労する大きなカメラはいらない、という人にも最適だ。
デジタル一眼レフを持つような人にも、サッと取り出せて撮影できるサブカメラとして活用できる。サブカメラは一般的なコンパクトデジカメでいいと考える人もいるかと思うが、単なる記録ではなく一眼を使うように“撮影”をしたいと思ったら、こうしたマニュアル対応のカメラを選ぶ必要があるだろう。
画質、デザイン、使い勝手とも、カメラとして一定の存在感を示すGR DIGITALは、新しいコンパクトデジカメの位置づけを切り開いたと思う。
それをもっとも端的に継承したのがキヤノンのPowerShot G7だ。GR DIGITALに比べればボディは大ぶりだが、光学6倍ズームに光学式手ブレ補正と高感度撮影などに加え、マニュアル撮影にも対応。デジタル一眼レフに劣らない豊富な機能を備えている。
GR DIGITALは広角撮影が得意なカメラだが、PowerShot G7のレンズは35ミリ相当からとちょっと平凡。しかし光学6倍までをサポートするので、GR DIGITALよりも撮影できる範囲は広い。
デザインも質感も高級感がある。PowerShotシリーズの製品として考えると不満に感じる部分もあるが、「高級コンパクトデジカメ」の雄として十分な実力を備えている。
注目すべき機能に「顔認識」がある。顔認識という機能自体は以前からニコンやペンタックスも自社カメラに搭載してきたが、PowerShot G7はハードウェアベースで機能を実装しており、高速に認識、多人数にも対応できる。
この機能のいいところは、人の顔を認識してAFとAEをあわせてくれるので、ピントの中抜けや逆光での光量不足などといった意外に失敗しやすいミスを減らしてくれる点。手軽にミスを減らせ、しかも使いやすい。
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