CEATEC時点からさらに改良したというパネルを北米に持ち込んだデモでは、PDPにとって不利とされる明るめの照明状態から、照明を落とし気味にした状態まで、照度をコントロールしながら、現世代のパイオニア製PDPと比較していた。比較対象が60インチWXGA機であったため、単純な比較はできないものの、その黒沈みとコントラストの高さからくる立体感は圧倒的だ。
また黒沈みが映像全体に良い影響を与え、シャドウ部やハイライトといった色が載りにくい輝度レンジでも、しっかりと色が乗る。肌のハイライト部でディテールが深くなり、暗部に見えなかった階調が見えてくる。若い女性のアップでは、ハイキーな映像の中にあって産毛までがハッキリと見えてくる。その映像には凄みすら感じられた。
圧巻は肌色からシャドウの真っ黒へと落ちていく部分。急に階調がなくなり黒へと落ちるのではなく、最後までキッチリと粘るのである。
この点に関して佐藤氏に伺うと、これは輝度5%以下という、低輝度レンジにおける輝度変化をリニアにできたためだと説明した。従来の技術では、PDP、LCDいずれも輝度5%以下ではリニアに輝度が変化せず、急激に黒へと落ちてしまう。新型はこの部分での忠実性が5倍にアップした。
コントラストは公式値で2万対1だが、これは測定器が0.05%以下の輝度を正確に計測できないための数値。実際には黒がピークの0.05%以下になっており、そのコントラスト比はSEDと見た目には変わらない。前述したように階調性も向上しており、従来的なPDPという概念を大きく超える映像だ。「PDP」あるいは「プラズマ」といった表現を使うのではなく、何か新しい方式名を考えた方がいいのではないか? と思えるほどの差がある。
どうやら現時点では年内、日本での発売は難しいようだが、しかしCEATEC時点では“未来のPDP”という印象が強かった新技術が、思いの外、早くお目見えすることは間違いなさそうだ。コストやシェア拡大よりも、高品質・高画質にこだわるパイオニアの次世代PDPへの期待が、より一層高まる印象的な展示だった。
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