FinePix Proシリーズの最新作「FinePix S5 Pro」を使ってみた。ニコン「D200」のボディをベースにして、富士フイルム独自の撮像素子と処理エンジンを搭載したデジタル一眼レフ機だ。
新開発のスーパーCCDハニカム「SR Pro」は、受光面積が大きく感度が高いS画素(617万画素)と、受光面積が小さくダイナミックレンジを拡大するR画素(617万画素)で構成され、有効1234万画素の画素数とネガフィルムに匹敵する広ダイナミックレンジを得られるという。こうしたCCDの仕組みや画素数そのものは、2004年に発売した従来機「FinePix S3 Pro」のスーパーCCDハニカム「SRII」と同じである。
メーカーによると、基本原理に変わりはないがCCDの各部をブラッシュアップし、さらにCCD以降の処理エンジンを改良したことで画質は一段と向上したという。特に、2つの画素の成分のつながりがよりスムーズになったことと、高感度の画質が進化し最高感度ISO3200に対応したことがポイントだ。
今回の試用では前モデルとの比較はしていないが、メーカーのいう「S画素のみの従来型ハニカムCCDに比べ400%の広いダイナミックレンジ」の性能は実感できた。下の2枚は同一条件でダイナミックレンジ100%のモードと400%のモードを撮り比べたものだ。人形の顔の部分の露出はほとんど変わらないが、400%では背景が白飛びせず、カーテンのディテールまで再現できている。
どんなシーンでも何もかもダイナミックレンジが広いほうがエラいとは思わないが、そもそもデジタルカメラが苦手とする明暗差の大きなシーンでも白飛びを最小限に防げるのはありがたい。風景、人物を問わず広ダイナミックレンジが生きるケースは少なくない。
前作FinePix S3 Proとの仕様上の違いは、ダイナミックレンジの設定をより細かくカスタマイズできること。カメラがシーンを判別し100〜400%の間で自動調整が働くオートのほか、100/130/170/230/300/400%の6段階を選べる。
また色調や階調の傾向を変更する「フィルムシミュレーション」モードは、初期設定のスタンダードのほか、F1/F1a/F1b/F1c/F2の5タイプを選べる。このうちダイナミックレンジをユーザー設定できるのはスタンダード選択時だ。さらに、色の濃さ/コントラスト/輪郭強調のカスタマイズにも対応し、狙いや好みに応じた画質を自由に作り出せるようになっている。
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