アイリバー・ジャパンのフラッシュメモリ搭載ポータブルメディアプレーヤー「Clix2」を試用してみた。本製品は同種製品としては初めてディスプレイにアクティブマトリックス有機EL(AM OLED)ディスプレイを採用しており、その美しさは頭ひとつ抜きんでている印象だ。
しかし、ただ画面が美しいだけではポータブルメディアプレーヤーとして評価することはできない。ポータブルメディアプレーヤーは携帯できる小型ボディという制約を持ちながら、多種多彩なメディアをシンプルに扱える操作性はもちろん、サイズやバッテリー寿命、画質・音質など求められる要件が非常に多く、どの要件をどれだけ備えるかのバランスが求められる。
フラッシュメモリを利用する小型メディアプレーヤーといえば、ウォークマンの「NW-A800」が記憶に新しいところだが、本製品はどれほどの魅力を秘めてるのか。レビューを通じて探ってみた。
本体をパッケージから取り出すとそこはかとない違和感を覚えるが、手にしてしばらく見つめているとその原因に気が付く。表面にボタンが1つもないからだ。予備知識がないと、一見しただけではこれがどういった製品なのか分からないかも知れない。
ボタンが表面にないのは、「iriver D-click system」と呼ばれる操作インタフェースの採用による。これは本体上下左右のフチを軽く押すことで、十字キーのかわりとする同社独自のインタフェースで、2005年に発売された「U10」(関連記事)から数えると本製品では3例目の採用となる。
あまり一般的ではないインタフェースだが、本体サイズいっぱいまでディスプレイサイズを大きくできるというメリットがあり、本製品は80.3(幅)×46.8(高さ)ミリという小型ボディながらも、動画対応ウォークマン(NW-A800)より大画面となる2.2インチのAM OLEDディスプレイを搭載している。
なお、最薄部の厚さは8.2ミリだが、中央に向かってふくらみがあり、最厚部では12.8ミリになる。機構的にある程度の厚さが必要になるiriver D-click systemの採用でこれ以上の薄型化が難しかったと想像するが、手にした感覚で言えば十分にスリムであり、胸ポケットに入れても違和感を覚えることはない。
側面には電源や音量、ホールドなどのボタン類が用意されているが、それらも存在を主張するほどのサイズではない。iriver D-click systemは同社独自の形式と言うこともあり、賛否もあるかと思うが、前面からボタンを廃したフラットなデザインは非常に独特かつ新鮮だ。
電源を入れるとAM OLEDディスプレイの美しさに目を奪われる。AM OLEDは液晶と異なり自発光デバイスで高い輝度や階調性、高速な反応速度などを特徴とする。本製品のAM OLEDディスプレイについては、26万色表示/視野角180度というスペック以外公表されていないが、ムラのない透き通った明るさがあり、既存の小型液晶とは異なるクオリティの高さを感じさせる。
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