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れこめんどDVD「守護神」(Blu-ray Disc)DVDレビュー(1/2 ページ)

» 2007年07月13日 08時45分 公開
[飯塚克味,ITmedia]

 かつて一世を風靡したハリウッドスター、ケビン・コスナーとハリウッドで大人気の若手スター、アシュトン・カッチャーががっぷり組んだ人命救助に命を賭ける男たちのドラマ「守護神」。日本国内では同じ海難救助隊を扱った「海猿」という大ヒット作があったため、どうしてもハリウッド版「海猿」という見方をされる本作だが、果たして実際はどうなのか?「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズに続く、ブエナ・ビスタの高画質高音質の本領が発揮されたBlu-ray Discでその実力を検証してみた。

「守護神(Blu-ray Disc)」

発売日:2007年6月20日
価格:4935円
発売元:ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
上映時間:139分(本編)
製作年度:2006年
画面サイズ:ビスタサイズ
音声(1):リニアPCM/5.1ch/英語
音声(2):ドルビーデジタル/5.1ch/英語
音声(3):リニアPCM/5.1ch/日本語
音声(4):ドルビーデジタル/5.1ch/日本語
音声(5):ドルビーデジタル/5.1ch/タイ語
音声(6):ドルビーデジタル/5.1ch/ポルトガル語

 全米では昨年秋、日本では今年2月に公開された「守護神」。全米では共演のアシュトン・カッチャーの人気も手伝って、ケビン・コスナーの主演作としては久々のヒット作となった。この勢いで、日本でもケビン復活かと思われたが、現実はなかなか甘くはいかず、期待されたほどのヒットには至らなかった。しかし作品的にはここ数年のケビン・コスナー主演作の中でも出色の出来となっている。

 監督のアンドリュー・デイヴィスは「沈黙の戦艦」や「逃亡者」で知られる職人肌の演出家だ。しかし彼もオスカーにノミネートされた「逃亡者」以降はヒット作に恵まれず、ケビン・コスナー同様、本作は勝負作であったはずだ。ハリウッドで生き残りを賭ける2人の熱意が作品に乗り移ったのか、本作には中年を過ぎようとする男の生き様が熱いまでに焼き付けられている必見の映画となっている。

 人命救助を第一とする伝説の救難士ベン・ランドール。彼は救助中、事故で仲間を失い、精神的にもダメージを受けてしまう。妻からも離婚を切り出され、絶望の淵に陥るが、旧友の司令官ハドレーの勧めでレスキュー隊員のエリートを養成する“A級学校”へ教官として赴任することに。卒業率が50%を切るこの学校で、ランドールは元高校水泳の王者ジェイクという訓練生と出会う。記録にこだわるジェイクと、人命救助を第一に考えるランドールはことごとく対立していくのだが、やがて2人は救難士としてともに現場へ出向くようになっていく……。

「海猿」との違いは?

 ストーリーだけ記していくと「トップガン」や「愛と青春の旅立ち」を彷彿とさせる。また邦画の大ヒット作「海猿」を思い出さない人はいないはずだ。本作でも訓練シーンや恋人と一夜を過ごしたジェイクが遅刻してしまう場面など、どう考えてもパクリにしか見えない場面があるのも事実だ。

 しかし、2人1組で行動することの重要性を訴え、チームワークに主軸を置いた「海猿」と違い、「守護神」ではあくまでランドールとジェイクの関係が中心に物語が展開する。2人の関係は時に教官と訓練生という枠を越え、父と息子のようにも感じられる。ジェイクに期待をするが故の厳しさがランドールからにじみ出てくるのだ。人命救助にあたる者にとって、本当に大事なものは何なのか? ランドールの台詞には心に響き渡るものも多く、映画を見たら簡単には忘れることが出来ない。

 特に良かったのは200人以上の命を助けたとされるランドールにジェイクがしつこく「本当に助けたのは何人なんですか?」としつこく言い寄られ、彼が答える場面。「助けられなかった人数ははっきり覚えているが、助けた数は覚えていない」――それまで記録にこだわり続けたジェイクが、この一言で目を覚ますことになる。日本でも仕事の本質を理解しないで、小手先の技術ばかりに目を向ける若者は多いが、そうしたタイプの人間には是非見てもらいたい名場面が実に多い。

水の表現力はBlu-ray Discならでは

 本作の素晴らしさは嵐の再現にも現われている。過去に海難救助隊の活躍が描かれた映画と言えばウォルフガング・ペーターゼン監督の「パーフェクト ストーム」が思い出される。メインの漁船遭難事故より、劇中に挿入された海難救助隊の場面の方が印象深いという不思議な構成の作品だったが、荒れ狂う海の描写は強烈だった。

 本作の海はそれをさらにパワーアップ。水の質感も本物とCGの見分けが付かない程になっている。視覚効果を担当したのはウィリアム・メサ。過去に担当した作品はレニー・ハーリン監督の「ディープ・ブルー」や、「ダーク・ウォーター」「イントゥ・ザ・ブルー」など水がらみのものが多いところが面白い。

 Blu-ray Discではこの水の表現力がDVDと格段に違うことも指摘しておきたい。大波となって押し寄せる大量の水の凄まじさは大画面再生だとまるでこちらも飲み込まれんばかりの迫力だが、DVDで見ると水の表現がまったりとしてしまい、それほど恐怖感は感じない。水が苦手な人はそれでもいいかもしれないが、映画の力を感じたいのであれば、断然Blu-ray Discでの視聴を勧めたい。

 映像の圧縮方式は「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズと同じくMPEG-4/AVC。一見すると地味な画質に見えるかもしれないが、細部表現も含めかなりの高画質だ。地味に見えるのは狙いで色調を落としているからだろう。またドキュメンタリー調を狙った部分も多々あり、ハリウッド映画然とした照明になっていない点も評価したい。

 音声はオリジナル英語と日本語吹替版をリニアPCMとドルビーデジタルで、ほかにもタイ語とポルトガル語も収録している。リニアPCMの音響はさすがにド迫力。嵐の場面では全チャンネルがフルボリュームになっており、ボリュームによっては部屋全体が揺れているかのような錯覚に陥るかもしれない。最新作らしい、派手なサラウンド設計が映画の醍醐味を与えてくれる。

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