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「機能」でなく「音」で選ぶプレーヤーソフトのススメレビュー(3/3 ページ)

» 2007年07月17日 11時25分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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 録音状態は悪くないものの、素晴らしいともいえない宇多田ヒカル、しかもMP3に圧縮した曲でそう違いは出ないだろうとタカをくくっていたが、ヘッドフォンで聴くと明らかな違いが感じられた。iTunesはとにかく元気。宇多田ヒカルの声をグッと前面に押し出し、力強い歌声を聴かせてくれる。いっぽうのSonicStageは、まず音圧が数デシベル上がるのがまずユニーク。そのため音のメリハリがだいぶ強められている。それでいながら解像度的には少し丁寧になった印象もあって、音数が多すぎるためiTunesではよく分からなくなっていたさまざまな効果音がきちんと聞こえるようになった。さらに驚いたのがWMPだ。絶対的音圧はiTunesに近いものの、解像度がほかの2つと大違い。きめが細かく、まるでビットレートを変えたファイルを聴いているかのよう。しかも空間表現が素晴らしく、打ち込みの効果音が左右だけでなく上下や前後まで移動。「traveling」がこんなにまでイリュージョンな曲だったことを新発見させてもらった。

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 WAVの曲になると、3つの特徴の違いはさらに顕著になる。iTunesはボーカルやメイン楽器を力強く聴かせ、SonicStageは余裕あるボリュームで最強音から最弱音まで漏らさず丁寧に再生。WMPは録音スタジオの空気感まで再現してくれ、アコースティック楽器のリアリティに関しては大きなアドバンテージを持つ。なかでもWMPで聴いた「Dearest」は素晴らしく、楽器に込められた溝口肇の気持ちまでもが伝わってくるかのよう。ヘッドフォンを使い大ボリュームで聴いたときには、恥ずかしながら思わず涙が出そうになった。

 しかし、再生環境を変えてみると、ほかのメディアプレーヤーの良さも際立ってくる。PC用スピーカーで再生しているときは、WMPのきめ細やかさや空間表現の素晴らしさはあまりいかされず、iTunesの元気さがかえって気持ちよくなる。ボーカルやメイン楽器の音を前面に押し出してくれるため、他のメディアプレーヤーに比べてノリのよい曲に感じられるのだ。またSonicStageはiTunesほどの力強さはないものの、入力感度の低いスピーカーなどでは、この音圧は重宝しそうだ。

 本格オーディオでは、向き不向きの問題は影を潜め、完全に好みの範疇となる。WMPの音がいちばん木目細やかで、本格オーディオへの順応性は高いが、メリハリは今ひとつ。それに対してiTunesの元気さは、大口径スピーカーだとさらに際立ってくる。SonicStageは、まとまりの良さが好印象。楽器や録音状態によっては音色が微妙に変わってしまうケースもあったが、曲をひとつの作品として整合性よく聴かせてくれる。どれを選んでも間違いのない印象だ。

 このように、メディアプレーヤーは機能ばかりでなく音までも違う。PCミュージックを大いに楽しむためにも、是非「音」という判断基準も考慮に入れてメインプレーヤーを選んで欲しい。そうすることで、より楽しいPCミュージックライブが送れるはずだ。

 ちなみに僕は、今後はiTunesをメインに使いつつ、PCでの再生はWMPを活用することにした。ぜひ皆さんも、自分の環境でサウンドをチェックし、ベストなプレーヤーソフトを捜し出して欲しい。

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