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コラム
» 2007年08月06日 11時40分 公開

ビデオカメラに飛び火するハイビジョン戦国時代小寺信良(2/3 ページ)

[小寺信良,ITmedia]
photo パナソニックの「HDC-SD7」

 パナソニックの戦略は、ある意味わかりやすい。これはプロ機の戦略同様、すべての記録メディアを半導体で置き換えていくという、松下電器全体の方向性を推進するものであり、今後も記録媒体にメモリを使ったモデルをリリースしていくだろう。

 また光学系の特徴としては、SD時代から3CCDへのこだわりがあり、従来はどうしても大型になってしまっていた3CCDを、小型モデルに搭載してみせた技術がある。他メーカーでCMOSの採用が相次ぐ中、そこには出遅れた感があるが、小型3CMOSは技術的に見えてきた時点でトライしてくるだろう。

 ただ同社が弱いのは、撮ったあとのPCソリューションだ。そのあたりがVAIO部隊を擁するソニーとは対照的で、DIGAやVIERAを使ったノンPCソリューションへ舵を切っていかざるを得ない。囲い込みとの批判は免れないかもしれないが、総合家電メーカーとしての戦略としては、妥当性がある。

 日立が放つ世界初BDカムの登場は、Blu-ray規格で8センチメディアが規定された時点から当然登場するものと予測していたが、製品化されたのは想像したよりも早かった。これまで日立は、2000年に世界初のDVDカムをリリースさせて以来、光学メディア記録を地道にがんばってきたが、昨年リリースしたHDDとDVDのハイブリッドカメラで大ブレイクを果たした。

 この1モデルでブランドシェアが10%から倍に伸びたというから、大変なものである。業界1位のソニーのシェアが3割強ということを考えると、業界3位か、ヘタすれば2位も夢ではないという、業界再編と言っても過言ではない下克上となる可能性を秘めている。

 BDカムは、BDオンリーとHDDハイブリッドの2モデルがラインアップされているが、やはりこれまでの経緯からすれば、主軸はハイブリッドモデルになるだろう。ただBD再生機の普及が十分に進まない今、本格的なブレイクにはまだ多少時間がかかるかもしれない。

 キヤノンの場合、他メーカーと違っていわゆる家電メーカーではないため、動画に連なるリレーションシップが自社で完結しにくいという弱点がある。以前は「写真DV」というキャッチフレーズでプリンタ事業を強力タッグが組めたわけだが、動画そのものに関連するものが自社内にないわけである。

 また記録メディア部門を持たないことも、自社グループ内でのシナジー効果が生まれにくい。どうしても製品のリリースが、市場全体の方向性を見極めてからというタイミングになってしまうため、これまではどうも後手に回りがちであった。

 ただ、今回のAVCHD機2モデルのリリースは、タイミング的にも他メーカーと同調している。HDの絵作りではもっとも成功している同社だが、すでに業界5位に転落していることから、この商戦はかなり正念場になってくるだろう。もともと販売力が強い会社なだけに、どのような販売戦略で攻めてくるのか、期待したい。

photo 日本ビクター「GZ-HD3」

 最後にケンウッドとの経営統合へ向かう日本ビクターだが、HDDビデオカメラをスタンダードに押し上げたEverioシリーズの新作(GZ-HD3)が今月登場してくる。他メーカーのようにラインアップを拡充してバリエーションで勝負する体力がないところが残念だが、その分一点主義でかなり内容の詰まったものになるだろう。

 ただ現在のところ、H.264ではなくMPEG-2記録であるアドバンテージがあるのかないのか、ユーザー側からはあまり見えてこない。今や完全独自フォーマットとなってしまったSD-Video形式をこのまま続けていくメリットが本当にあるのか、決断しなければならないときが近づいてきている。

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