ヤマハは9月6日、「シネマDSP HD3」(シネマディーエスピー エイチディーキュービック)を搭載したフラグシップAVアンプの新製品「DSP-Z11」を発表した。「DSP-Z9」を4年ぶりに全面改良。THX Ultra2 Plusに準拠した11.2ch仕様の「HD時代の最高級AVアンプ」(同社)だ。価格は69万3000円。12月10日に発売する。
先月発表した「DSP-AX3800」に搭載した「3Dモード」が「シネマDSP HD3」に進化。フロントプレゼンス(2ch)とリアプレゼンス(2ch)をくわえた11.2chを駆使して、「高さ」方向の初期反射音を含む3次元サラウンド再生を実現する。複雑な処理を担当するのは、ヤマハと米TIが共同開発した新LSI「DA70Y」×3基と「DA790」を組み合わせた「QUAD DSPエンジン」だ。もちろん、ドルビーのTrueHDやDTS−HDマスターオーディオなど最新のHDオーディオもデコード可能だ。
アンプ部は、すべて独立式とした合計11ch分の電流帰還型パワーアンプを内蔵。定格出力は各ch140ワット(フロント、リアのプレゼンスは50ワット)。「カタログスペックよりも聴感上の音質を優先させたピュアオーディオ仕様ので、より豊かな音の表現力や伸びやかな空間再現、そして圧倒的な力感をあらゆるソースで実現する」(同社)という。また、フロントスピーカーの高音側と低音側を独立したチャンネルで駆動する「フロントバイアンプ駆動」に対応したほか、DSP-AX3800に搭載された新しい「ピュアダイレクトモード」を採用しており、ピュアオーディオソースのアナログ信号や光/同軸デジタルの音声信号はもちろん、HDMIのビットストリームやロスレス信号など映像系ソースも含めて入力信号の種類に応じた最適な信号経路や動作状態を自動的に選択する。
筐体は、厚さ1.6ミリの鋼板を使用したサブシャーシとH型メインフレーム、外縁部のアウターフレームを結合させた新開発の「H型リジッドフレーム」構造だ。超大型電源トランスを中心として、両側にパワーアンプ用ラジエーターを対称に配置したシンメトリーなデザイン。これにより、重量配分や熱配分も均等化させ、音質劣化の原因となる微細な機械的な共振や変形を排除しつつ、左右チャンネルの独立性を高めた。外形寸法は435(幅)×210(高さ)×497(奥行き)ミリ。重量は34キログラム。
HDMI入力は5系統。このうち1系統をフロントパネルに装備した点はAVアンプ初だ。ゲーム機やデジタルビデオカメラといったポータブル機器を手軽に接続できる。またHDMI出力も2系統を装備しているため、テレビとプロジェクターなどを同時に接続して使い分けることもできる。なお、HDMI端子はいずれも124Hz、100Hz、120Hzのリフレッシュレート、ディープカラー、xv.Color、オートリップシンクをサポートしている。
音声入力は、アナログ音声×11、デジタル音声が光×5と同軸×4にくわえ、前述のHDMI×5を装備。一方の映像入力はコンポジット×6、S端子×6、コンポーネット×4、D5×4。新たに1080p信号のコンポーネント入力に対応したほか、動き適応処理・3-2/2-2プルダウン検出・ジャギー低減斜め補完制御に対応した高性能I/Pコンバータ、アンカーベイ・テクノロジーのビデオスケーラーなどを搭載。「AVアンプでアナログ映像をキレイにする」(同社)というアプローチはDSP-AX3800と同じだ。
このほか、PCやポータブルオーディオとの連携機能も充実している。PCのHDDに保存した音楽ファイルやインターネットラジオをネットワーク経由で視聴したり、iPodドック(YDS-10)のサポート、USBメモリに保存した楽曲ファイルを手軽に視聴できる「USB機能」などを搭載。USBとネットワーク経由の視聴では、新たにMPEG-4 AACフォーマットに対応した。
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