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世界初の有機ELテレビ、ソニー「XEL-1」(詳報)(2/2 ページ)

» 2007年10月01日 16時42分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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 画質や薄さ、低消費電力性など、有機ELディスプレイが従来の薄型ディスプレイに対して優位性を持つ部分は多いが、数少ない弱点としてあげられているのが有機材質を用いることによる色素の減衰だ。

 有機ELディスプレイはR/G/B3色の有機材質に電流を流すことで色彩を得るが、それらにも寿命がある。R/G/Bの各色が同じ時間で寿命を迎えれば画面がブラックアウトすることになるが、それぞれの材質が均等に減衰していくわけではないため、長時間の使用で特定色のみが減衰し、カラーバランスが崩れる恐れがあることが指摘されていた。

 新製品ではまず長寿命の有機材料を開発、加えて特定色だけに負荷がかからないように発光/信号処理を行うことで、約3万時間のパネル寿命を確保している。「1日8時間、10年間使えるだけの明るさを提供できる」(白石氏)。

photophotophoto 新開発された有機材料(左)、パネル構造(中)、ORGANIC PANEL(右)

 XEL-1の「テレビ」としての機能は非常にスタンダード。ロッドアンテナを内蔵しており、アンテナケーブルの引き回しが難しい場所でも楽しめることをのぞけば、液晶のBRAVIA Vシリーズなどとほぼ機能面では変わらない。DLANクライアントとして機能する「ソニールームリンク」の搭載が目立つぐらいだが、HDMIも備えており、パーソナルユース向けとしては十分と言える。パネル解像度は960×540ピクセルだが、1080p/1080i/720p/720i/480p/480iの各入力信号に対応する。

photophotophoto 画質はまさに圧倒的。寿司の艶やかさは食欲をそそるほど(左)、BRAVIAとしてはおなじみのXMB(中)、EPG(右)
photophotophoto 画面のチルト機構は備えていないが、上下に50度稼働する(左)(中)、収納可能なロッドアンテナが目立つ背面インタフェース(右)

 気になるのが大画面化を含めた今後の展開だが、同社ではまず「有機ELテレビ」という新ジャンル製品の市場反応を見極めつつ、大画面化を進める考えだ。「まずは市場からの評価をもらいたい」(白石氏)、「このサイズに留まることなく大型化を進める。まずはこれが当面の課題。同時に、これだけ薄いパネルをどのように“新しいテレビの在り方”として提案できるか、これも考えていきたい」(同社取締役 代表執行役 副社長の井原勝美氏)

photo 「世界初の有機ELテレビは“技術のソニーの復活”を目指し、技術、生産、マーケティングなど全社員がたすきをつないだ結果。反転攻勢の旗印にする」(同社 代表執行役 社長 兼 エレクトロニクスCEO 中鉢良治氏)

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