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ソニーのBDレコーダーでH.264録画を検証する(1/3 ページ)

» 2007年10月23日 03時16分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

 ハイビジョン映像圧縮方式の本命ともいえるMPEG-4 AVC/H.264に対応したソニーのBDレコーダーがいよいよ登場する(→発表記事)。今回はファーストインプレッションとして、H.264関連の録画、ダビング、その画質について速攻チェックを行った。

 今回試用したのは、11月8日に発売されるBDレコーダー4機種の内、ミドルレンジにあたる「BDZ-L70」だ。最上位機「BDZ-X90」と比較するとHDDの容量が異なるほか、映像出力系の機能が一部省略(主にHDMI関連)、厳選パーツの採用までは至っていない点が異なるが、デジタルダブルチューナーの採用や録画・ダビング機能などはほぼ共通だ。なお、試用機は最終版に近いものだが、画質チューニングは出荷直前まで行われることが多く、製品版と完全に同じではないことを最初にお断りしておきたい。

photophoto 「BDZ-L70」は320GバイトのHDDを内蔵。ハイビジョン“ハンディカム”から、簡単に映像を取り込める「ワンタッチダビングボタン」が特徴だ。価格はオープンプライス。店頭では18万円前後になる見込みだ

H.264エンコーダは1つ、TS記録との2番組同時録画が可能

 本製品を含めたBDレコーダー新製品4機種の最大の特徴は映像の圧縮コーデックとしてH.264(MPEG4-AVC)を採用したことだ。H.264はハイビジョン映像の圧縮コーデックとしてはBDビデオやHD DVDといった次世代DVDで既に採用済み。HDDやSDメモリカードを用いたハイビジョンカムコーダーにも使われている。

 H.264(MPEG4-AVC)は、ハイビジョン放送に用いられているMPEG2に対して、どの程度圧縮率が高くなっているのか。明確に数値化することは難しいが、同社は発表会などにおいてはコーデック単体だけでなく、さまざまな高画質化技術も投入することで約2倍の圧縮効率を実現したとしている。地上デジタル放送のビットレートは約17Mbpsなので、圧縮効率が倍になれば必要なビットレートは約8.5Mbps。DVDビデオの最大ビットレートに収まることになる。

 では、H.264を採用した録画機能をまず見ていこう。本機では録画時にH.264でエンコードしてのリアルタイム録画が可能だ。ハイビジョンのままでの画質モードとして「XR/XSR/SR/LSR」の4つが用意されている。それぞれの平均ビットレートは15M/12M/8M/6Mbps。XRモードに関しては地上デジタル放送のビットレートに対して2Mbpsの差しかないため、BSデジタル放送の録画用と考えるのが正解だろう。

photophoto 工場出荷状態の録画モードは「SR」。地上デジタル放送ならDRモードの約半分の容量で録画できる。録画モードは7通り(右)。ER/LRモードはSD解像度での録画になる

 LR/ERはSD解像度へダウンコンバートが行われるモードで、平均ビットレートは4M/2Mbpsだ。ビットレート的にはLRが従来のレコーダーのでのSPモード、ERがLPモードに相当することになるが、エンコードはH.264で行われるので圧縮効率が従来の(MPEG2に対して)2倍と想定すれば、画質的にはLRがXPモード、ERがSPモードとなる。

 なお搭載されているH.264エンコーダーは1つで、2つある録画ユニット1つに接続されている。もう1つの録画ユニットではDRモード(放送波をそのままのTS記録)のみで録画が可能。もちろんDRモードでの2番組を同時録画することもできる。

 DRモードで録画した番組は、BDメディアに対してH.264の各録画モードへエンコードしながらのダビングが可能なので、同時録画した番組はどちらも最終的にはH.264コーデックでBDメディアへダビングできる。またDRモード録画は理論上、放送と比べて画質劣化はないため、録画時/ダビング時のどちらでH.264エンコードを行っても画質に優劣はないことになる。なおHD内部でのDRモードからH.264の画質モードへの変換は行えない。

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