では画質を見てみよう。本機に搭載されたH.264エンコーダーは、同社独自のハイビジョンハンディカム用エンコードチップをベースにレコーダー用に開発されたもの。このためハイビジョン解像度は1440×1080ドットとなり、1920×1080ドット(1080i)のデジタル放送、DRモード録画に比べて横方向の解像度は低いことになる。少々残念ではあるが、現時点ではコストとのトレードオフになる部分もあるのだろう。
まず、大まかなにいえることは「万能的に使えるのはXSRまで」といったところか。動きの激しいシーンでも破綻はほとんど見られない。一部「おや?」と思うシーンはあったが、並行して録画したDRモードで確認すると、実は放送段階で画質が破綻していたことがほとんどだ(地上デジタル放送では散見される明らかなビットレート不足)。テロップのエッジを凝視しても気になるノイズは見られない。
水平解像度が落ちているぶん、全体にわずかにソフトフォーカス感はあるものの、BSデジタル放送に対してだとXSRのビットレートは約半分なので、この点を考えると十分な画質だと感じる。絶対的な画質で評価するべきという声もあるとは思うが、それなら最初からDRモードだけを使えばいい訳で、やはり新しいコーデックはデータの削減量と画質のバランスで評価すべきだろう。
地上デジタル放送に対してビットレートが約半分になるのがSRモード。本機ではデフォルトの録画モードとなっており、アナログ世代のレコーダーでいえばSPモードという位置付けになる。スタジオ収録の比較的画質の良い放送を録画しても解像感にはまったく不満はなく、ごく普通に視聴している分にはこれといってDRモードからの劣化は感じない。
ただし、動きの激しいシーンでは瞬間的にエッジが崩れた印象になることがあり、また紙ふぶきが画面全体に舞うようなシーンでは明らかにビットレート不足と思える画質になった。たとえばドラマなどの録画では不満はないだろうが、画面全体のパンなども多いサッカー中継などではXSRモードの必要性を感じる。
LSRモードは画面に動きがないシーンではDRモードと大きな変化は感じない。しかし画面に動きがあると途端にフトフォーカス印象になり、さらに大きく動くと映像として破綻することもあった。
露骨なのが最新のアニメ作品。最近はCG化が進み、色の均一性が保たれているため、動きが少ないシーンでは不満の生じない画質を維持することも多いのだが、動きが激しくなると急激に画質劣化する。たとえば、本編は問題ないのに、動きの激しいオープニングだけが気になる番組が多い。また実写番組では、放送画質な良好なほど人肌などのグラデーションが荒れてみえることもあった。SRモードと比べて約2Mbpsの差しかないが、その差は非常に大きいといえる。
ただ、SD映像のアップコンバート放送ではかなり頑張る印象だ。ドラマの再放送などは映像の情報量が少ないためか、破綻は目立ちにくい。タイムシフト用途で見たら消す、的な使い方には十分だし、SD解像度になるER/LRモードと比較すれば解像感は間違いなく高い。とにかくBDメディアにドラマを沢山保存したいという場合にも利用するメリットは十分にあるレベルだろう。
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