ITmedia NEWS >

ソニーのBDレコーダーでH.264録画を検証する(2/3 ページ)

» 2007年10月23日 03時16分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

 では画質を見てみよう。本機に搭載されたH.264エンコーダーは、同社独自のハイビジョンハンディカム用エンコードチップをベースにレコーダー用に開発されたもの。このためハイビジョン解像度は1440×1080ドットとなり、1920×1080ドット(1080i)のデジタル放送、DRモード録画に比べて横方向の解像度は低いことになる。少々残念ではあるが、現時点ではコストとのトレードオフになる部分もあるのだろう。

 まず、大まかなにいえることは「万能的に使えるのはXSRまで」といったところか。動きの激しいシーンでも破綻はほとんど見られない。一部「おや?」と思うシーンはあったが、並行して録画したDRモードで確認すると、実は放送段階で画質が破綻していたことがほとんどだ(地上デジタル放送では散見される明らかなビットレート不足)。テロップのエッジを凝視しても気になるノイズは見られない。

 水平解像度が落ちているぶん、全体にわずかにソフトフォーカス感はあるものの、BSデジタル放送に対してだとXSRのビットレートは約半分なので、この点を考えると十分な画質だと感じる。絶対的な画質で評価するべきという声もあるとは思うが、それなら最初からDRモードだけを使えばいい訳で、やはり新しいコーデックはデータの削減量と画質のバランスで評価すべきだろう。

photophoto BSデジタル放送をDRモードとXSRモードで録画し、再生した映像の一部をアップで撮影したもの。動きのほぼないシーンとはいえ、XSRモード(右)のビットレートがほぼ半分という点を考えると立派な画質だ

 地上デジタル放送に対してビットレートが約半分になるのがSRモード。本機ではデフォルトの録画モードとなっており、アナログ世代のレコーダーでいえばSPモードという位置付けになる。スタジオ収録の比較的画質の良い放送を録画しても解像感にはまったく不満はなく、ごく普通に視聴している分にはこれといってDRモードからの劣化は感じない。

 ただし、動きの激しいシーンでは瞬間的にエッジが崩れた印象になることがあり、また紙ふぶきが画面全体に舞うようなシーンでは明らかにビットレート不足と思える画質になった。たとえばドラマなどの録画では不満はないだろうが、画面全体のパンなども多いサッカー中継などではXSRモードの必要性を感じる。

 LSRモードは画面に動きがないシーンではDRモードと大きな変化は感じない。しかし画面に動きがあると途端にフトフォーカス印象になり、さらに大きく動くと映像として破綻することもあった。

 露骨なのが最新のアニメ作品。最近はCG化が進み、色の均一性が保たれているため、動きが少ないシーンでは不満の生じない画質を維持することも多いのだが、動きが激しくなると急激に画質劣化する。たとえば、本編は問題ないのに、動きの激しいオープニングだけが気になる番組が多い。また実写番組では、放送画質な良好なほど人肌などのグラデーションが荒れてみえることもあった。SRモードと比べて約2Mbpsの差しかないが、その差は非常に大きいといえる。

 ただ、SD映像のアップコンバート放送ではかなり頑張る印象だ。ドラマの再放送などは映像の情報量が少ないためか、破綻は目立ちにくい。タイムシフト用途で見たら消す、的な使い方には十分だし、SD解像度になるER/LRモードと比較すれば解像感は間違いなく高い。とにかくBDメディアにドラマを沢山保存したいという場合にも利用するメリットは十分にあるレベルだろう。

photophotophoto 左からDR/SR/LSRモードで録画した映像の一部。画面全体が横にパンしているシーンなので画質モード間の差が大きい点に注意してほしい。SRモードとLSRモードの情報量の違いがかなり大きいことがわかり、LSRモードがソフトフォーカスに感じるという点も納得いただけるだろう。SRモードもDRモードと比較すると情報量は欠落しているが、実際に映像としてみた場合の差はSRモードとLSRモードの差の方が大きく感じる
photophotophoto 左からDR/SR/LSRモードで録画した映像の一部。テロップは固定されているが、背景が横に流れているシーンだ。テロップのエッジは、やはりDRモードが一番綺麗で、背景とのテロップの独立性もしっかり確保されている。SRモードでは若干エッジに乱れを感じるが、背景の表示も十分なめらか。LSRモードになると背景のエッジが乱れ、テロップの陰の部分も乱れが大きくなっている
photophoto 左からDR/SRモード。サッカー中継で芝の部分をアップにした。SRモードの方が若干ソフトフォーカス気味だが、これはここまでアップにしなければ気がつかないレベルといえる

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.