ERモードとLRモードはSD解像度にダウンコンバートされる。6Mbpsでハイビジョン解像度のLSRモードと4MbpsでSD解像度のERモードではERモードの方がバランスが良いのでは? とも予想したが、やはり解像度の違いは大きく、ハイビジョン放送の録画ならLSRの方がオススメだ。LRモードになるとハイビジョン放送の録画ではテロップなどが見るに耐えない状態になる場合もあるため、ハイビジョン放送の録画やはりLSRモードが下限と思ったほうが良さそう。なおアナログ放送の録画であればER/LRモードも画質に大きな破綻を感じることはなかった。
またH.264でコーデックとして強化された部分(デブロッキング)なので、ある程度は当然かもしれないが、SRでもLSRでもビットレートを考えるとブロックノイズの目立たない点は特筆すべきだろう。これはH.264でデコードした後にかけるフィルター類も寄与していると思うが、若干ソフトフォーカス気味になっても見やすさという点で意義が大きいといえそうだ。
今回は本機で新たに採用されたH.264コーデック関連を早足で検証した。画質に関しては突き詰めるとキリがないし、そもそも放送波をそのまま録画するDRモードが存在する以上、H.264を採用したからといって今まで以上の画質で録画できるわけではない。また現時点では同時期に発売が予定されているパナソニック製のH.264対応製品もまだ実機は見ていないので、画質に関する絶対的な評価も今回は避けたい。確かにフルHD解像度でエンコードされない点は残念だが、重要なのはバランス。少なくとも各画質モードのビットレートに対して画質は十分に満足行くものだと思う。とくにデフォルトになっているSRモードのビットレートと画質のバランスは決して悪くないはずだ。
確実にいえるのは、ハイビジョン録画での録画モードが増えたメリットが大きいということ。本機がデフォルトとしているSRモードでも大きな破綻を感じずにハイビジョン録画および再生が可能であり、DRモードに対してHDDには倍の時間、リーズナブルになってきた1層のBD-R/REメディアに約6時間分のダビングができる。アナログレコーダーの時代も皆がXPモードで録画をしていた訳ではないので、H.264の採用でようやく同じような自由度を得ることができたともいえる。
たとえばアナログレコーダーをヘビーに使っていた人ほど、ハイビジョンレコーダーは(ハイビジョン録画では)500GバイトクラスのHDDでも足りないと思ってしまいがちだが、ハイビジョン録画の画質モードが複数あれば、本機のように320Gバイトで十分だと感じる人も増えるのではないだろうか。再生互換性の課題は残されているが、BDメディアへの保存をより積極的に利用したくなると思う。
「x-まる録」による自動録画を例にとっても、従来製品であればSD解像度で容量を節約する人が多かったと思われるが、本機ならハイビジョン画質でいける。「見たら消す」「とりあえず録画しておく」番組でも、ようやくHDDの容量をあまり気にせずにハイビジョンで楽しめるようになったわけだ。一度ハイビジョンに慣れてしまうとちょっとした視聴でもアナログ放送をあえて見る気にならないのが実情だから、「残す」ことにこだわらない人にもメリットは大きい。
また本機では、いわゆる「ダビング10」への対応を表明している。どうも発売までには(策定の問題で)間に合いそうにないが、同時にダビングの自由度も拡大することになり(ダビング10に関してはいいたいことは沢山あるが……)、従来製品と比較すれば一気に魅力を増した。またダビング10が組み合わせることで、DRモードで録画した後、どの録画モードに変換してBDメディアに残すか、といった使い勝手もある程度は許容されるはず。このメリットもまた大きいと思う。
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