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» 2007年10月31日 22時41分 公開

インタビュー:フルHDの価値を問いかけるAQUOS P

シャープの「AQUOS Pシリーズ」は、シリーズ最小サイズの22V型にもフルHDパネルを搭載、豊富なインタフェースを持つなどPC利用時の親和性も高めている。「テレビ」と「ディスプレイ」という時に相反する2要素をどのようにまとめ上げたか。

[渡邊宏,ITmedia]
photo AVシステム事業本部 液晶デジタルシステム事業部 第1商品企画部 係長の佐々木毅氏

 シャープが発表した「AQUOS Pシリーズ」は、シリーズ最小サイズの22V型「LC-22P1-W」にも1920×1080ピクセルのフルHDパネルを搭載した製品だ。同社は昨年末にも業界で初めて32V型にフルHDパネルを搭載した「AQUOS Gシリーズ」を投入しており、小型液晶テレビの高精細化について積極的な姿勢を維持していることが分かる。新製品の狙いや特徴について、同社AVシステム事業本部 液晶デジタルシステム事業部 第1商品企画部 係長の佐々木毅氏に話を聞いた。

 新製品はPC用キーボード収納スペースを脚部に設けることからも分かるよう、「PCと組み合わせて使う高精細テレビ」を基本スタンスとする製品だ。同社によれば液晶テレビは「一家に一台」を上回るペースで普及しており、PC用モニターも20型が市場を牽引しているのが現状だという。

 市場を見ると32V型以下の液晶テレビの解像度はほとんど1366×768ピクセル(WXGA)であり、そうした製品を購入したユーザーの大半が購入後、さらに高精細な製品を望むこと、液晶テレビにPCを接続しているユーザーの比率が32V型でも11%、20V型では15%にものぼることが同社の調べては明らかになったという。

 そうした背景で企画開発されたAQUOS Pは全モデルに同社製のフルHD液晶パネルを搭載、「フルHD液晶テレビ」としての軸足をずらさぬままに、PCとの親和性が高められている。PCを利用しながらWindows Vistaのガジェットのように受信中のテレビを映し出せるPinPや入力1にDVI-D、入力2にアナログRGBが割り振られたインタフェース、PC用に「sRGB」モードが用意された画質調整機能、DVI-DとアナログRGBを個別に用意するなど、その印は各所に見られる。

photophotophoto 22V型でフルHDパネルを搭載する「LC-22P1-W」(左)、PC利用中にウィジェットのように受信中のテレビをPinPの画面を映し出せる(中、右)

 ただし、佐々木氏はあくまでも新製品を「液晶テレビのAQUOS」と主張しており、それは細部を確認していくと明らかになる。小型パネルにフルHD解像度を持たせたため、画素ピッチは22V型で0.254ミリ(26V型で0.3ミリ)と非常に細かい(AQUOS Gシリーズは32V型で0.36ミリ)が、画面輝度は一般的な液晶テレビと同レベルの400カンデラが確保されている。

 EPGなどデジタル放送対応テレビとしての機能はAQUOS GシリーズやDシリーズなどとほぼ同等で、絵作りに関しても「スタンダードタイプの製品と何ら変わらない」(佐々木氏)。D5やi.LINK(TS)、ファミリンク対応のHDMI(2系統)も用意されているが、デジタルチューナーは1基のみで、倍速駆動技術の搭載も見送られている。

photophotophoto 画素ピッチはもっとも微細なタイプで0.254ミリ(左)番組表も現行AQUOS製品とほぼ同じ(中)、インタフェースは背面に集中しており側面・前面にはイヤフォン端子しかない(右)、

 32V型フルHDモデルを投入した際、さらなる小型化について同社は「要望がある限りは、やらなければならないでしょう」と述べている(→32V型のフルハイビジョン、「AQUOS Gシリーズ」が狙うもの)。本製品は最小サイズとして22V型を用意しているが、卓上のスペースなどの関係で、もうワンサイズ小さい製品があれば……という声があがることも予想できる。

 ただ、さらなる小型化について佐々木氏は否定的な見解を示す。「現時点の技術では、微細化に伴う開口率(明るさ)の確保が難しい。“小さいフルHDテレビ”への需要があれば取り組むが、何らかのブレイクスルーが必要になる」

 価格も問題だ。22V型の「LC-22P1-W」の実売想定価格は18万円前後。WXGA解像度のパネルと搭載した同サイズ製品に比べると、フルHDという付加価値を込みとしても割高だ。さらに小型化を進めるとなれば、微細化や主基板のシュリンクなどが障害となり、画面サイズは小さくなったのに価格は上がる事態も容易に想像できる。

 それに、そもそも画面サイズが小さくなれば、同じ画素数でも精細感が向上したように人間の目は認識してしまう。これまで各社が32V型を1つのボーダーとしてフルHDとWXGAのパネルを使い分けていた理由もそこにある。「テレビとして利用する限り、あまり小さいサイズの画面にフルHD解像度は必要ない」という意見に同意するメーカー関係者は多い。

 22V・26V型のフルHDパネル搭載機は本製品以外登場しておらず、オンリーワン製品でもあるが、画面サイズだけを見れば決して安価ではないこの製品。「フルHDの価値を分かる人へ買ってもらいたい」(佐々木氏)というコメントの通り、フルHDをどれだけ重視するか、利用者に判断を迫る製品と言える。

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